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第一話:W.S.入隊前日

プロローグの続きです。

ある種の初任務になるのだろうか、この状況は。そう思うと俺はいてもたってもいられなくなり思わず椅子から立ち上がり、


「親父頼む!今回はつけといてくれ!後で払うから!」


と言うと俺は怒鳴る親父を無視しつつ、こんな大通りで事件を起こすアホ野郎をとっちめるために悲鳴が聞こえたほうへと走り出す。このまま走っていても埒があかない。


「さて、ちっとばかし飛ぶ(・・)か。」


そういうと俺は詠唱を始める。二秒とかからずに文言をつぶやき終えると足に微弱な疾風をまとわせる。


第五級疾風系魔法エアロ。


それがこの微弱な疾風の正体。こいつを使って跳躍力に疾風を加算して高く飛び上がる。

すぐに犯人はわかった。人だかりがそこだけ避けるようにして消えているのだから。しかも調子に乗って火炎系魔法を軽く炸裂させている。


さて、俺の出番だ。思いっきりやらせてもらおう。そう決めると狙いを定め、脚部の疾風を噴射することで降下。


ドシャァァァァッ!


とか盛大に音を立て、土煙を上げながら着地する。


「ゲホッ!ゴボッ!ゴボッ!さて、俺だって仕事しなきゃいけないんでな、魔道犯罪鎮圧のお仕事させてもらうぜ」


と、舞い上がった土煙に咳き込みながら一応人差し指だけ突き出して、格好のつかない感じで決める。正直ダサいな、俺。


「あぁん?鎮圧軍かよ?テメェらなんぞ俺の炎で消し炭にしてやらぁ!」


とか喚きつつ、手では炎をチラつかせながら中年のオッサンが千鳥足でこっちに歩いてくる。呂律も回ってねぇし、昼間っからアルコール入ってるのか?そう思い、訝しげな顔で観察すると、案の定顔を赤くしてやがる。こんな酔っ払いのオッサンが事件を起こしてたのかと思うと、無性に腹が立ってくる。


「はぁ・・・。」


と溜息をついたところで、とりあえず顔を引き締める。


「なぁに溜息ついてるんだこの野郎!」


どうやら錯乱して酔っ払ってらっしゃるようなので、酔いを醒ますためにも水でもぶっ掛けてやりたいところだが、残念ながらワンタッチで酔いを覚ます位の水なんての出せないので、魔法だってそんなに万能じゃない。


不便といえば不便だがそんなこと言っても仕方が無いので、電気ショックで酔いを醒ますことにする。

形容することのできない発音で短く文言を唱えると直後、微弱な魔力の奔流と共に人差し指から雷が放たれる。


バチッ!


と弾けた音がするとおっさんが体を痙攣させながら倒れた。見事命中。


「第五級雷撃魔法エレキ。なんつって。」


人差し指を突き出したままそんなことを言ってみる。決まってるぜ。


「何『なんつって』とか言って格好つけて出張ってるんだ。馬鹿野郎。」


と声がかかるのと同時に、頭を恐らくはグーで殴られた。


「痛ぇ!」


思わず叫ぶ。こんなことをするのは、俺の中では一人しか心当たりがいない。


「やるならシッカリやれ。容疑者はしっかりと確保しろと言っただろうが、阿呆め。」

「うわぁ、教官・・・」


俺の元教官兼新隊長。魔道鎮圧軍第03部隊長レイカー・ゼフォールド。鬼教官とか、鬼隊長とかそんな感じの別称で呼ばれているらしい。ただただクソ真面目なだけの人間なのだと思うが。


「容疑者確保!さっさとしろ!」


と手錠を手渡される。


「了解・・・」


げんなりしながら答える。まあ、真面目な人間とは気が合わないんだが。そんなこと言っても仕方ない。明日から立派な社会人だし。

なんだかんだでオッサンに近寄り、元教官もとい新隊長からもらった手錠をかけ、


「ったく、事件起こしたのがこんなオッサンかよ。」


と吐き捨てる。


「ったく・・・・・・教え子の尻拭いも大変だな。」


どうやら隊長は基地へ迎えをよこすよう電話をかけていたみたいだった。あとは迎えが来るまでオッサンを見張ってるだけだ。


「ほら、公園まで運ぶぞ。」


どうやらまだやる事はあったみたいだった。面倒だなぁ。

さっきの屋台の親父に金を払った後、俺と新隊長とで公園に気絶したままのオッサンを運んで、公園のベンチに寝かせる。

やっと一段落したかと、ベンチに座ると、


「全く、気を抜くなと言っているだろうライアー。お前はツメが甘いんだよ。」


とお説教が来たので


「大きなお世話です、教官。」


と、とりあえず突っぱねてみる。


「お前は新人だから知らんだろうが、03部隊は変人ぞろいだ。そんな気構えだと大変な目に逢うぞ。」


「少し変わってるくらい大丈夫ですって。」


また突っぱねる。意地を張っても得する事など無いのは分かっているが、性分なので仕方が無い。悲しいね俺。

そんなことを思ってると車が突っ込んできて、目の前でターンし停車。

危ねぇ車だなぁ、とか思ったのも束の間ドアがいきなり開き、


「ヒャッハー!ケツの青い新人と酔いどれオッサンのためにお迎えにあがったぜェ・・・隊長殿ォ・・・。」


と、どこぞのチンピラみたいな奴が出てきて


「ご苦労、マルクス。」


と何食わぬ顔で対応している隊長。

前言撤回。こんな奴らばっかかよ、03部隊。


こんな調子で続いて行きます。

こんな感じですが、どうかお願いします。

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