『保留された記録』
行動、移動、接触。
すべてが自己申告によって記録される社会で、
高校の記録委員会は、日々提出される膨大なログを処理している。
主人公は、その委員会で
「判断を下さない」役割を担っていた。
記録を否定しない。
だが、確定もしない。
問題があるかどうかを決める前に、
ただ「保留」という処理を行い続ける。
誰かが書きすぎ、
誰かが書くことをやめ、
それでも制度は回り続ける。
事件は起きない。
例外も、今は付かない。
それでも、保留された記録だけが静かに積み重なっていく。
これは、
何も起きなかった日々の中で、
判断されなかった事実が残り続ける物語。
前作『特に問題なし』の後、
同じ制度の内側で描かれる、
もうひとつの沈黙の記録。
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