孤独な神の卒業――共同統治(エンパイア・リンク)
寝所に満ちた四色の光が収束し、静寂が戻る。
ゆっくりと目を開けたレインが見たのは、自分を覗き込む、どこか憑き物が落ちたような、それでいて深い愛着に満ちた面々だった。
「……目覚められましたかな、主様」
リヴィアが、その温かい手でレインの頬に触れる。
先ほどまで実体を失い、すり抜けていたはずの手のひらが、今は確かな熱を持ってレインの肌に伝わった。
「リヴィア……? 俺は、一体……」
「主様がお独りで消えようとするから、皆でお仕置きをしたのですぞ。……もう、勝手な『献身』は許しませんな」
レインが自分の身体を見れば、そこにはデジタルノイズなど微塵もない。
それどころか、四人の本質が混ざり合ったことで、以前よりも遥かに密度が高く、神々しいまでの存在感を放っていた。
「……レイン、貴方の視界の端を見て」
アリスに促され、レインがシステムウィンドウを展開する。
そこには、これまで存在しなかった未知のステータスが刻まれていた。
【新システム:五位一体・共同統治――起動】
【管理負荷:20% / 20% / 20% / 20% / 20% ―― 分散完了】
【状態:一蓮托生の絆】
「……負荷を、分けているのか?」
「ええ。貴方一人が背負っていた『一億人の欲望』を、私たち四人が等分に引き受けました。……これで、貴方が消える時は、私たちも同時に消える」
エルナが、その言葉の重さを噛みしめて告げる。
一人の男を死なせないために、その命を全員で分け合った、心中にも等しい愛の縛鎖。
「先輩、もう隠しごとは無しですよ?
ちょっとでも苦しいって思ったら、私たちがすぐに肩代わりしちゃうんですから」
シュガーがいたずらっぽく笑うが、その絆は鉄よりも重い。
レインの胸の奥に、自分一人のものではない、四人の鼓動と感情が流れ込んでくる。
「……全盛期の帝国を、背負う。か……。お前たち、とんでもないことをしてくれたな」
繋がった魂を通じて、五人の想いは一つに溶け合い、帝国の基盤はかつてないほど盤石なものへと進化した。
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