【共犯】「五人で一人の王になろう」――世界への反逆開始
深い眠り(スリープモード)に強制移行させたレインを寝かせ、四人のヒロインは玉座の裏に位置する、ログさえも届かない極秘の会議室に集まっていた。
先ほどまでの涙は消え、その瞳には「守護者」としての鋭い光が戻っている。
「……レインの消失まで、残された時間はあとわずかです。通常の方法では、一億人の演算負荷を止めることはできません。止めた瞬間、帝国が崩壊し、彼はその反動で即座に消滅します」
アリスが、震える指先で虚空に絶望的な数値を投影する。
あまりにも無慈悲な羅列を前に、三人は息を呑み、沈黙した。
「……方法はあるのでしょう? アリス。私たちをここに呼んだということは、『裏道』を見つけたということね」
エルナが腕を組み、静かに問いかける。
元・運営の看守である彼女には、アリスの覚悟が分かっていた。
「あります。ですが、それは『規約違反』どころの話ではありません。……私たちの存在定義そのものを書き換える禁忌です」
アリスの言葉に、リヴィアが不敵に口角を上げた。
黄金の魔力が、決意と共に膨れ上がる。
「主様を救えるのであれば、神だろうが、叩き潰すのみですな! 規約など、主様がいない世界では紙屑も同然ですぞ!」
「……私も、先輩を失うくらいなら、悪い子になってもいいです。シュガーにできること、なんでも言ってください」
シュガーも、いつもの後輩らしい甘さを捨て、まっすぐな瞳でアリスを見据えた。
アリスは頷き、禁断のプランを口にする。
「……『共同統治システム』の構築。レイン一人が背負っている管理権限を強引に分解し、私たち四人に無理やり連結させます。王の背骨を四本の柱で支えるのです」
「それは……私たちが、レインと不可逆的に繋がるということね?」
エルナの問いに、アリスは重く頷いた。
「ええ。痛みも、負荷も、そして魂の寿命もすべて共有します。五人で一つのアカウントになる……いわば、心中にも等しい共犯関係です。一度行えば、二度と元の『個体』には戻れません」
一億人の欲望という名の毒を、共に飲み干す覚悟があるか。
四人の間に、迷いはなかった。
「……全員、腹は決まったようですな」
リヴィアが中心に手を差し出す。
そこに、エルナ、シュガー、アリスの手が重なった。
「これより、主様に内緒で『運命への反逆』を開始しますぞ。……準備はいいですかな、共犯者の皆さん?」
帝国の夜。
王が眠る傍らで、四人の女たちは「救済」という名の最大の反逆へと足を踏み出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




