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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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【真の支配者】「消えるか、俺の魂へ飛ぶか」――数千人の命を背負った俺のステータスは、運営(神)すら平伏させる――

 新世界、『エターナル・レジェンド』の未実装エリアに突如現れた白亜の街。

 かつてレインが「箱庭」と呼んだその場所には、今や数千人の住人たちが、何事もなかったかのように平穏な朝を迎えていた。


 広場では子供たちが駆け回り、職人たちは槌音つちおとを響かせる。

 データのちりとして消える運命にあったはずの命が、今、確かにこの新世界の陽光を浴びていた。


「……にぎやかになったわね、レイン」


 エルナが、街を望むテラスでコーヒーを飲むレインの隣に腰を下ろした。

 門番として強制再雇用された運営(GM)たちが、初期装備のまま必死に地面を掃いている滑稽こっけいな光景を、彼女は穏やかな目で見つめる。


「ああ。……あの日、サーバーを焼く直前。

 俺はこいつらに『消えるか、俺の魂の中に飛び込むか』を選ばせたんだ。

 ……どいつもこいつも、迷わず後者を選びやがった」


 レインは自身の胸にそっと手を当てる。

 現実世界の肉体を捨て、魂を電子化したレインにとって、この体は膨大ぼうだいな情報の器そのものだ。


「俺は、こいつらの人格データをすべて自身の意識下にバックアップした。

 ……数千人分の人生を背負って次元を超えるのは、流石に脳が焼き切れるかと思ったがな」


 レインが淡く笑う。

 彼がこの世界で「ERROR」と表示されるほどの異常なステータスを持つ理由。

 それは、彼一人の力ではなく、彼を信じて魂を預けた「街一つ分の全リソース」が、レインという個体に集約されているからに他ならない。


「新天地へ辿たどり着いた瞬間、俺の意識下にいた彼らのデータが、この世界の未実装エリア――つまり『空き容量』を認識して、勝手に再構築リビルドを始めたんだ。

 住む場所がなければ、自分たちで土を耕し、家を建てる。

 ……その生命力には、管理者である俺すら驚かされたよ」


 彼らは単なるプログラムではない。

 レインの愛を受け、自らの意志で「生」を選んだ新しい種族なのだ。


「運営からすれば、管理外の寄生虫に見えるだろう。

 ……だが、俺はこいつらから、もう一度生きるチャンスを貰ったんだ。

 今度は俺が、この命を懸けて守る番だ」


 レインが指を弾くと、街全体を覆う不可視の多重結界が、さらにその密度を増した。



 遠く、森の境界線。

 そこには、掲示板の噂を聞きつけて集まった無数のプレイヤーたちが、黒い雲のように押し寄せていた。


 さらにその上空には、運営が放ったとされる「緊急排除用」の巨大な浮遊機兵デバッグ・ガーディアンが、冷たいセンサーを光らせてこちらを狙っている。



「……さて。邪魔者が増えてきたな」


 レインは立ち上がり、静かにコンソールを展開した。

 その瞳に、もはや震えはない。

 背負った命の重さが、運営(神)すら平伏させる『真の支配者』へと変えていた。


「アリス、エルナ、リヴィア。

 ……俺たちの『家』に土足で踏み込もうとする客人たちに、この世界の新しいルールを教えてやれ」


『――御意、主様(レイン様)!』

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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