表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第4章:絶対神の新婚生活。説教する精霊女王と究極の箱庭づくり
48/66

境界線に漂着した「世界の燃え残り」。消去したはずのゴミ箱の中で、ただ一人俺を罵る少女の声

「……アリス。その『ゴミ箱』から響くノイズ、何だか聞き覚えがないか?」


 俺の問いに、アリスは冷徹な銀色の瞳をさらに細め、不快そうに唇を歪めた。


「……はい。消去デリートされた旧世界の残骸ざんがい、その最深部にしがみついている『往生際おうじょうぎわの悪いデータ』が一つ。……レイン様、お耳汚しです。今すぐ物理的に圧殺し、完全消去フォーマットしてまいります」


 アリスが指先を掲げ、世界の境界線を「掃除」しようとしたその時。庭の結界を叩く振動と共に、不気味なほど理屈っぽく、そしてどこか必死な少女の声が、俺の脳内に直接響いた。


『──ちょっと! 聞こえてるんでしょ、そこの管理者バカ! 勝手に世界をデリートしておいて、自分だけ優雅にティータイムなんて万死に値するわよ! この理不尽なサーバー停止、今すぐ撤回なさい!』


「……。なんだ、今の声」


 俺は思わず苦笑した。世界が消滅した虚無(エラー画面)の中で、救いを求める悲鳴ではなく、管理者の俺に対して「説教」を垂れる存在。そんな奴は、旧世界に一人しか心当たりがない。


「アリス、そのバグ……いや、その『燃え残り』をこちらへサルベージしてくれ。殺すのはいつでもできる」


「……御心のままに。ですがレイン様、あんな五月蠅うるさいバグ、拾い上げてもろくなことになりませんわよ?」


 アリスは溜息をつきながらも、黄金の管理者権限を指先に集め、虚空に向けてスワイプした。瞬時、俺たちの平和な庭の空気がピリリと震え、光の渦から一人の少女が「排出」された。


「……きゃああああっ!? いきなり引っ張るんじゃないわよ、このデコ助ーーっ!」


 ドサッ、と芝生の上に無様に転がったのは、虹色の髪を乱した、透き通るような肌を持つ絶世の美女だった。だが、その背中には世界の理を象徴する幾何学模様の光輪が浮かび、彼女がただの人間ではないことを証明している。


「……ふんっ、やっと繋がったわね! あんたがレインでしょ? 私の忠告を無視して権限を暴走させた大馬鹿者は!」


 彼女は立ち上がるなり、服に付いた草を払うのも忘れて俺に指を突きつけた。旧世界の意志――精霊たちの頂点にして、かつて俺が「介入制限」で苦しんでいた時に、システム越しに無慈悲な警告を送り続けてきた精霊女王エルナ。


「その認識で合っている。ゴミ箱の中でまだ生きていたとは驚きだ、エルナ」


「生き延びた? 失礼ね! 私はシステムの安全装置として、あんたの不適切な運用を監視するためにわざと残ったのよ! だいたい、この『庭』の魔力濃度は何よ! 物理法則を私物化して、不老不死の泉まで作って……っ! これ、完全に規約違反なんだからね!」


 顔を真っ赤にしてまくし立てる彼女の姿は、威厳のある女王というよりは、理屈っぽいツンデレ少女そのものだった。


「……アリス、やっぱりこいつ、石像にしてもいいか?」


 俺がポツリと呟くと、エルナの肩がビクッと跳ね、その大きな瞳が涙目で潤んだ。


「……な、なによ。せっかく私が、あんたの間違った権限の使い方を正してあげようって……ひっ、アリス、そのくわをこっちに向けないで! 説教は管理者のための慈悲なんだからーーーっ!」


 絶対神となった俺の楽園に、かつての「天敵(システムの意志)」が、口うるさい居候として転がり込んできた瞬間だった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけた方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


 どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ