伝説の金竜をデバッグしたら、やかましい巨乳美少女になりました
「……。やれやれ、この世界は俺をのんびりさせておく気はないらしいな」
レインの視界に浮かぶ、無機質な半透明のウィンドウ。そこには、かつてないほど禍々しい赤色の警告灯が点滅していた。
『――裏山の座標NULL-Bにて、防衛ユニットの『熱暴走』を検知。至急、冷却を実行してください――』
レインがβ-2の通知を読み上げると同時に、窓の外で凄まじい爆音と金色の閃光が弾けた。
「アリス、少し『掃除』に行ってくる。留守番を頼めるか?」
「いいえ。レイン様の隣が、私の定位置ですから」
アリスはいつもの涼しい微笑みを浮かべた。だが、その手にはティーカップではなく、いつの間にか「黄金に輝く農具(鍬)」が握られている。
二人が現場へ向かうと、そこには王国騎士団が束になっても勝てない伝説の金竜が、涙と鼻水を流しながら暴れ回っていた。
「あづいぃぃ! 身体が燃えるようにお熱いんですぞぉぉ! 誰か、誰か助けてぇぇぇ!!」
鼓膜を突き破らんばかりの絶叫。そこには、全長30メートルを超える巨体を持った『星食竜』が、金色の炎を撒き散らしながらのたうち回っていた。かつて王国の伝説に刻まれた、世界を焼き尽くす災厄の象徴。だが、今のレインの瞳(管理者権限)には、その巨体に重なるように【Error:Overheat / Delete recommended】という赤い文字が虚しく点滅しているのが見えていた。
「……。アリス、あれが『防衛ユニット』か?」
「はい。不具合でオーバーヒートしているようです。……放っておいても自爆するだけですが、どうしましょう?」
「助けてやるさ。庭の裏で自爆されたら、土壌が汚染されるからな」
レインはため息をつきながら、指先をパチンと鳴らす。
【管理者権限:強制冷却】。
瞬きする間もなくドラゴンの巨体が凍てつくと、金色の粒子となって空に霧散した。
キィィィィィィン、と高く澄んだ音が残響し――
霧の中から現れたのは――眩しいほどの金髪を振り乱し、布面積の極端に少ない服から凶悪なまでのボリュームを溢れさせた、一人の少女だった。
「ふはぁぁぁ! 生き返りましたぞ! ……ん? あなたが、リヴィアを直してくれた『主様』ですな!?」
彼女は叫ぶなり、弾丸のような速度でレインに突進し、その豊かな胸にレインの顔を埋めさせるように抱きついた。
「おおぉぉ……! なんと清らかな魔力! リヴィア、今日から主様の『クッション』兼『寝床』になりますぞーーーっ!!」
「ちょ……、苦しい、離せ……!」
「……。離しなさい、このトカゲ」
背後から、アリスの凍りつくような声が響いた。アリスは自分の胸元をそっと見下ろし、それからリヴィアの「暴力的な膨らみ」を凝視する。その瞳には、かつてないほどの「敵意」と「動揺」が混じっていた。
「レイン様。……やはり、このユニットは不完全です。一度バラバラに解体して、再構成すべきだと思います」
「アリス!? 目が、目が笑ってないぞ!?」
「ひぎぃ!? 主様、この銀髪の女子が怖いんですぞ! 助けてぇぇ!」
こうして、レインの「聖域」に、やかましくて騒々しい『金色のバグ』が加わることになった。
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