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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第2章:管理者の箱庭と、捨てられた予備聖女の覚醒
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【悲報】王国最強の装備、デバッグ・ロッド一振りで消滅する

 王国騎士団長ガイアスは、驚愕きょうがくに震えていた。 つい先ほどまで、この森は「神の拒絶」とも思える圧倒的な魔圧に包まれ、一歩も立ち入ることができなかったのだ。しかし――。


「……団長! 霧が晴れました! 結界が……消えたのか?」


「いや、違う。……道が開いたのだ」


 彼らは知らなかった。 その時、座標NULLのテラスで、レインが管理ウィンドウを操作していたことを。


「……アリス。ゴミ捨て場にポイ捨てした『リンゴの芯』のせいで、外の生態系がバグり始めてるな。一箇所に魔力が溜まりすぎて、このままだと森全体がパンク(崩壊)する。一旦、境界線の外側に溜まった魔力の外圧を逃がすぞ」


 レインが管理ウィンドウを操作し、不可視の障壁を一時的に解除する。 すると、モニターの端に小さな光点が映り込んだ。


「……お、ちょうど入り口付近にいた連中が、フィルターを解いた瞬間に滑り込んできたな。俺が昔作った首飾りの反応がある……。あれを頼りに、ずっと境界の外側でウロウロしてたらしい」


「レイン様がメンテナンスのために開けてくださった道を、自分の力でこじ開けたと勘違いしているようですね。……なんて浅ましい」


 アリスの瞳に、ゴミを見るような冷ややかな光が宿る。


「ちょうどいい。アリス、あいつらを使って『手動でのクリーンアップ』のテストをしてくれないか? 境界線の外まで、一気に掃き出してくれ」


「はい、喜んで。レイン様のお手を汚すまでもありません!」



 騎士団がたどり着いた先。そこにはまがまが々しい魔王の城などなく、穏やかな花園と、テラスハウスがあった。


「……そこの方々。ここから先は『レイン様の聖域』です。殺気を持った方の立ち入りは、固く禁じられています」


 庭の入り口に、一人の少女、アリスが立っていた。 騎士たちは、自分たちが今ここに立てている理由が、レインが「システムの排熱」のために一時的に窓を開けたからだとは夢にも思わず、剣を引き抜く。


「……娘、貴様が魔王の使いか! 我らは王国騎士団! 勇者アルディス様を害した大罪人を排除しに来た!」


 騎士団長ガイアスが剣を向け、精鋭たちが一斉に踏み込む。だが、アリスは一歩も動かない。ただ冷たく、彼らの胸元で光る「レインの過去の遺物」を見つめた。


「……その首飾り。レイン様がかつて、真心を込めて作ったものです。あなたたちのような『ゴミ』が触れていいものではありません。――返してください」


 アリスが静かに、だが拒絶を許さないトーンで告げる。 その瞬間、騎士たちの胸元で輝いていた首飾りが、主を拒むように激しい光を放ち、音を立てて粉々に砕け散った。


「なっ……!? シールドりが……砕けただと!?」


「もう、あなたたちを守るものは何もありません」


 アリスがデバッグ・ロッド(白い枝)を、まるで指揮棒のように軽く振る。


「――お掃除の時間です」


 瞬間、騎士たちが構えた剣も、身にまとった王国自慢の魔法銀のよろいも、まるで最初から存在しなかったかのように空気に溶けて消滅した。


「馬鹿な……! 装備が、消えた……!?」


 パンツ一丁の無様な姿で、精鋭たちが地面にいつくばる。 聖域の圧倒的な魔圧が直接肌を焼き、彼らは呼吸することすらままならない。


「仕上げです。不法侵入者は、元の場所へお返しします」


 アリスがロッドで空を叩くと、巨大な空間の歪みが発生した。絶叫する騎士団を飲み込んだ。それは、時速300キロを超える勢いで、彼らを「森の入り口」――勇者のもとへと射出した。


 一方、テラス。


「……ふぅ。作業完了だ。アリス、お疲れ様。ハーブティーの二杯目が入ったぞ」


「はい、レイン様! 今戻りますね!」


 空に向かって可愛らしく手を振るアリス。レインは、回収した首飾りの残骸ざんがいデータを眺めながら、それを「新しい農具の補強材」へと変換し、過去との決別を終えるのだった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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