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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第2章:管理者の箱庭と、捨てられた予備聖女の覚醒
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王国最強の進軍と、管理者の警告ログ

 王都グランゼールの謁見えっけんの間。国王の前で、勇者アルディスからの伝令が床にひざをつき、必死の面持ちで書状を掲げていた。その傍らでは、王国騎士団長ガイアスが険しい表情で事態を見守っている。


「……報告は真実か? 北の森に魔王軍の拠点が築かれ、勇者一行が奇襲きしゅうを受け壊滅状態だと?」


「はっ! アルディス様曰く、そこには正体不明の魔導師が潜んでおり、凶悪な泥の魔物を使役して勇者様を凌辱りょうじょくしたとのことです!」


 伝令の騎士は、アルディスから吹き込まれた嘘を必死にまくし立てる。 泥まみれで追い返されたという「恥」を、勇者は「魔王軍の卑劣ひれつな罠」という英雄譚えいゆうたんに書き換えていた。


「救世主である勇者をそこまで追い詰めるとは……看過できん。ガイアス、直ちに精鋭騎士団を動かせ。その『魔王の拠点』を包囲し、一掃するのだ」


「御意。我が国の威信いしんにかけて、その不届き者を討ち果たしましょう」


 最強とうたわれる王国騎士団が、重厚なよろいの音を響かせて進軍を開始する。 彼らは知らなかった。自分たちが討とうとしている相手が、この世界の「ことわり」そのものを管理している存在だということを。



 一方その頃、座標NULL(レインの庭)。


「……ふふ、レイン様。今日のお洗濯は、一段と輝いていますね!」


 アリスが庭の洗濯紐せんたくひもに干しているのは、昨日俺が生成した「自動洗浄機能付きの布」で作った新しい普段着だ。 太陽の光を浴びて、衣類が神聖な魔力を放ちながらキラキラと輝いている。


「ああ。環境の魔素濃度が高いからな。干しておくだけで自動的にエンチャントがかかる仕様にしたんだ」


「すごいです! これなら泥に汚れても、一瞬で元通りですね!」


 アリスは楽しそうに翼をパタつかせている。 俺はテラスの椅子に深く腰掛け、管理ウィンドウの端に映る「不穏な光点(赤いマーカー)」を眺めていた。


「……アリス。言っていた通り、少し騒がしくなってきたぞ」


「……はい。森の境界線に、殺気を持った集団が近づいていますね」


 アリスの表情から、いつもの柔らかさが消え、守護騎士としての鋭い光が宿る。 彼女は、傍らに置いていた「ただの白い枝 (デバッグ・ロッド)」を手に取った。


「レイン様の平和を乱す不浄なもの……。私が、お掃除してまいります」


「いや、まずは警告からだ。……まあ、聞くような連中には見えないがな」


 俺はリンゴをかじりながら、ウィンドウをスワイプして「警告ログ」を表示させる。 勇者の嘘に踊らされた騎士団が、自分たちの命をゴミ箱に捨てようとしているのを、俺はただ無機質なログとして眺めていた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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