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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第2章:管理者の箱庭と、捨てられた予備聖女の覚醒
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勇者の『魔王報告』と、管理者の『自動洗浄機能(アップデート)』

 ゼノスの街にある高級宿。 かつては「救世主」として歓迎されていた勇者一行だが、今や宿のロビーには気まずい沈黙が流れていた。


「……アルディス様。ギルドマスターから『被害届』が出ています。街の境界線にある保護区域に無断で侵入し、公共の美観を損ねたことへの賠償金、それから――」


「うるさい、うるさい、うるさいッ!」


 アルディスが宿の机を叩きつける。 だが、かつてなら粉々に砕けていたはずの机は、ただガタッと揺れただけだった。レインの『攻撃力補正オーバーライド』が切れた彼の拳は、今や平均的な戦士よりももろい。


「あの場所は魔物の巣窟そうくつだ! 我々は世界のために、魔王の拠点を調査しに行ったんだ! あの泥スライムを見ただろう!? あれこそ邪悪な魔導の証拠だ!」


「……ですが、鑑定士ドラン様は、あそこを『聖域』だと……」


「黙れ! 鑑定士ごときが勇者の直感に口を出すな!」


 アルディスは目を血走らせ、逃げるように宿を出る。彼は、自分を笑いものにしたこの街の住人すべてを見返してやるため、禁断の一手に踏み切った。


「見ていろ……。国王陛下に直接、虚偽……いや、正当な『魔王出現』の報告を入れてやる。軍を動かし、あの忌々しい森ごと焼き払ってくれる!」



 その頃、座標NULL(レインの庭)。


「……ふふっ、レイン様、見てください。このお花、私がお水をあげたら、一晩でこんなに綺麗きれいに!」


 アリスが指差す先には、絶滅したはずの古代種『虹色の百合』が、庭の雑草のように群生していた。 アリスが持つ「管理者の守護騎士」の権限により、彼女の愛情(魔力)を受けるだけで、あらゆる植物が神格化しているのだ。


「お、いい色だな。アリスの魔力操作が上達した証拠だ」


 レインがアリスの頭を優しく撫でる。 アリスは「えへへ……」と嬉しそうに目を細め、幸せそうに尻尾(光の翼)を揺らした。


「……あ、レイン様。そういえば昨日、お掃除機能で追い出した『泥まみれのかたまり』ですが……。また来たら、今度は私が直接、お外までお運びしましょうか?」


「いや、アリスの手が汚れる。次に来たら、もっと強力な『自動洗濯機能(時速300キロの水流)』をセットしておくから大丈夫だ」


「わかりました! レイン様の効率的なお掃除、尊敬します!」


 街で勇者がどれほど憎悪の炎を燃やしていようと、この庭に流れる時間は、どこまでも平和で、どこまでも規格外だった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
とても読みやすく、自然とページが進みます。 第1章はあえて感情を込めず、淡々とした文が続きます。 逆にそこが管理者として、オペレーティングに徹底している様子が浮き彫りにされていて面白い。読みやすいので…
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