自動排除された『ゴミ(勇者)』と、優雅なる朝食
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これからも楽しんで読んでいただけるよう、物語を紡いでいきますので、引き続きお付き合いいただけたら嬉しいです。
交易都市ゼノスの北門。 そこへ、門番たちが絶句するほど無惨な姿の集団が現れた。
「……おい、なんだありゃ。泥人間か?」
「いや、見ろよ……あのアザラシみたいに這ってるの、勇者アルディスじゃないか?」
全身を深い沼の泥で塗りつぶされ、右足を奇妙な方向に曲げたアルディスが、街へと戻ってきた。 かつての輝かしい金髪は泥で固まり、聖女セシリアは魔力枯渇で虚脱状態、他のメンバーもボロ雑巾のようだ。
「……ひ、ヒール……誰か、俺に回復を……」
アルディスが震える声で助けを求めるが、集まってきた野次馬たちの反応は、期待していた「心配」とは正反対のものだった。
「おいおい、あそこはギルドマスターが『立ち入り禁止』を指定した北の森だろ?」
「あの無惨な姿……さては、忠告を無視して突っ込みやがったんだな?」
「鑑定士ドランさんが言ってたぜ。あそこには『神の警告(看板)』があるって。それを無視して自爆するなんて、勇者様もバチが当たったんじゃねぇのか?」
街中に広まっていた「リンゴの芯」の噂が、勇者の失態と最悪の形で結びついた。 人々の尊敬の眼差しは、今や「触れてはいけないものに手を出して自爆した愚か者」を見る冷ややかな視線へと変わっていた。
一方、そんな喧騒とは無縁の座標NULL。 レインは、アリスと共に朝の庭仕事を終え、テラスで焼きたてのパンを広げていた。
「レイン様、このパン……小麦の香りが、今まで食べていたものと全然違います!」
「ああ、土壌の設定を『豊穣の女神の祝福』レベルまで引き上げたからな。その辺の草でも、そこらの高級店より美味いものが育つぞ」
アリスは幸せそうにパンを頬張る。 彼女のステータスは既に完ストしているが、本人はその自覚が全くない。ただ、レインの隣にいられる幸せで胸がいっぱいのようだ。
「……あ、レイン様。さっき、庭の隅の看板が光っていましたが……」
「ああ、あれか。また『ゴミ(バグ)』が飛んできただけだ。自動排除しておいたから気にしなくていいぞ」
「はい! レイン様がそう仰るなら、安心です!」
二人の穏やかな朝食。その裏で、強制排除された勇者たちが街の泥溜まりでのたうち回っていることを、レインは「処理済みのログ」程度にしか考えていなかった。
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