表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第2章:管理者の箱庭と、捨てられた予備聖女の覚醒
20/37

鑑定不能の食べ残しと、石ころから生まれる神話級の包丁

 交易都市ゼノスの冒険者ギルド。 その最奥にある「鑑定室」は、かつてない緊張感に包まれていた。


「……信じられん。私の鑑定士人生……いや、王国の歴史において、これほどの数値は見たことがない」


 震える声で呟いたのは、ギルドお抱えの最高権威、鑑定士ドランだ。 彼の目の前には、厳重な魔法障壁のなかに鎮座する、乾燥した「リンゴの芯」があった。


「ドランさん、結果はどうなの!? 『森の静寂』が拾ってきたっていう、その……『神の遺物』は」


 ギルドマスター、カレンが身を乗り出す。 ドランは額の汗を拭い、鑑定結果が記された羊皮紙を差し出した。


【名称:世界樹の残滓ざんし

【ランク:規格外(EX)】

【魔力含有量:測定不能オーバーフロー

【備考:一口摂取するだけで全ステータスが恒久的に上昇。枯死した大地を楽園に変える「創生の種」を含んでいる】


「……ただの食べカスだと思っていましたが、これは『国宝』などという言葉では足りません。これ一つで、隣国との戦争を終わらせ、なおかつ数百年単位の繁栄を約束する……文字通りの『神の果実』です」


 カレンの顔から血の気が引いた。


「そんなものを……『食べ残し』として森に捨てた存在がいるっていうの?」


「はい。しかも切り口を見る限り、ナイフなどは使われていない。……手で、無造作に、まるで『ただの朝食』として、贅沢ぜいたくにかじりついた痕跡こんせきがあります」


 鑑定室に沈黙が落ちる。 「神」を、あるいは「世界の管理者」を連想させる圧倒的な力の痕跡。


「……すぐに全ギルドメンバーに特級通達を出しなさい。森の深部、最近報告が上がっている『地図が消失している空白地帯』。あそこを『絶対不可侵領域』に指定するわ」



 一方、その頃。


「……っ、うまい……! うますぎる、このリンゴ!」


 俺の「庭」では、アリスが二個目のリンゴを夢中で頬張っていた。 口の周りを果汁で濡らし、光の翼をパタパタと小刻みに揺らす姿は、どこからどう見ても、世界を揺るがす「守護騎士」には見えない。


「アリス、そんなに食うと鼻血が出るぞ。……さて、腹も膨れたし、次は『家』の機能を拡張するか」


 俺は空中に指を滑らせる。 ログハウスの隣に、小さな「工房」を生成した。


「勇者パーティにいた時は、アルディスの剣の刃こぼれを直すだけで精一杯だったからな。自分のために何かを作るのは、久しぶりだ」


 俺はそこらへんの石ころを拾い、適当にコードを流し込む。


【オブジェクト変換:オリハルコン(高純度)】

【付与:自動修復、神威、概念切断】


「……よし、これで『包丁』でも作るか。アリスに美味い料理を作ってやりたいしな」


 俺が数秒で作り上げた「包丁」は、もし表層世界の鑑定士が見れば、そのあまりの異常さにショック死するであろう、神話級の魔剣すら凌駕りょうがした「何か」だった。


 俺はまだ知らない。この「包丁」一つが、後に王国軍を震撼しんかんさせることになるのを。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけた方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


 どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ