運営席から世界を整える勇者
追放された勇者パーティの元メンバー、レイン──
世界を作ったプランナーとしての権限を取り戻した俺は、夜の森を歩いていた。
夜行性のウルフが静かに横切る。
牙も爪も、俺には向かない。ただ、虚空を彷徨うだけだ。
「……挙動は想定通り」
確認だけして、俺は歩き続ける。
この世界は、攻略する舞台じゃない。
修正する舞台だ。
森の奥で、空気が歪む。
【エリア名:未定義領域A-17】
【状態:マップ未接続】
一歩踏み込むと、景色が破綻していた。
木々は意味を失い、地面はノイズのように引き延ばされる。
《管理者権限により、強制排除を無効化します》
「……残ってたか」
作りかけで放置された領域。世界に残った、継ぎ目。
影が盛り上がり、黒い霧が形を成す。
【エネミー:エラースポーン】
【仕様外存在】
触れれば即死。防御も回避も効かない。
……普通なら、だが。俺には、ただの作業だ。
空中に指を走らせる。
【暫定ステータスを割り当てます】
【AIテンプレート:低難度】
霧は軽く揺れ、枝一本で突くと、あっという間に消え去った。
《管理者経験値を獲得》
設定通り。
攻略ではなく、調整するだけだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




