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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第2章:管理者の箱庭と、捨てられた予備聖女の覚醒
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「ゴミ箱」として捨てられた予備聖女を拾ったら、好感度とステータスが完ストして守護騎士になった件

 街「ラゼル」を離れた俺は、深い森のさらに先、地図の端へと辿たどり着いた。 そこは、開発途中で放棄された【座標:NULL】。 通常のプレイヤーやNPCなら、足を踏み入れた瞬間に虚無へと落下する「世界のバグ」だ。


 だが、管理者権限を持つ俺にとっては、最も自由な場所だった。


《環境設定:デフォルトから「安定」に変更》

《テクスチャ:草原(高画質)を適用》

《天候:永劫の晴天に固定》


 俺が空中に指を走らせるたび、何もない闇だった場所に瑞々しい緑が広がり、暖かな陽光が差し込む。


「……ここなら、誰にも邪魔されない」


 俺は、一軒のログハウスを「生成」した。 かつて勇者パーティの野営で、アルディスが「もっと豪華な部屋を用意しろ」と文句を言っていたのを思い出す。 あいつのために使うはずだったリソースを、今は自分のためだけに使う。


「さて、まずは――『水』だな」


 俺は地面を指差した。


【オブジェクト生成:純水の泉】

【特殊効果:状態異常全回復、MP自動回復】


 本来なら、王都の最奥にある聖域にしかないはずの「奇跡の泉」だ。 それを、俺は庭のただの水道代わりに設置した。


「……ん?」


 その時、泉の端に「エラーログ」が浮いているのが見えた。 小さな、白い塊。


【エネミー名:???】

【状態:耐久値1 / 999,999】

【警告:システム外の負荷により消滅寸前】


 近づいてみると、それは一人の少女だった。 ボロボロの純白の法衣をまとい、背中には無理やり引きがされたような「翼のあと」がある。


《解析中……》

《個体識別:アリス》

《役割:勇者パーティ用・予備バッテリー(聖女代行)》


 俺は息を呑んだ。 アルディスたちが「予備」として連れ回し、魔力が枯渇こかつしたからとバグ領域に捨てたのだ。 彼女は、世界のバグを一身に受けるための「ゴミ箱」として設計されていた。


「……ひどいな」


 俺が彼女の額に触れる。


【管理者コマンド:全ステータス・フルリカバリ】

【権限譲渡:この領域内での生存許可】


 まばゆい光が彼女を包んだ。

 少女のほほに赤みが戻り、ゆっくりとその瞳が開かれる。


「……ここは、天国……ですか?」


「いや、俺の庭だ」


 彼女は俺を見上げ、その瞳から大粒の涙をこぼした。 システム的に「泣く」という設定すらされていなかったはずの彼女が、俺の手をぎゅっと握りしめる。


《NPC:アリスの好感度が測定不能オーバーフローに達しました》

《アリスが『管理者の守護騎士』として登録されました》


「……レイン様。私を、拾ってくださるのですか?」


「ああ。ここには、理不尽な仕様なんて一つもない」



 その頃、はるか遠くの街道では――。 アルディスが苛立ちの声を上げていた。


「おい、予備の聖女はどうした! 傷が治らないぞ!」


「……あ、アルディス様。彼女なら、さっきの『穴』に落としてきました。もう使い物にならないからと、あなたが言ったのではないですか……?」


「チッ、代わりならいくらでもいると思ったが……。なぜだ、なぜこんなに体が重い!」


 勇者たちはまだ気づいていない。 彼らの「無敵」を支えていた最後の安全装置セーフティを、自分たちで捨てたことに。


 そして、俺の庭に「世界最強の聖女」が誕生したことに。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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