鎖と首輪
神の声が耳朶をうっては
刹那に空へと溶け去った
透明な音符の痕跡を追う
黒く軋む音が首を締める
これは召命などではない
主なる御手による導きか
贖いの首輪から突きでた棘が
喉を刺し首から血を流させる
霊に誘われた神秘の証は
苦悩だ、激痛だ、
そして、天の国への飢餓だ
身も心も捧げながら
霊を吸いて、吐いて、喘ぎて
風がよぎり、魂が震える
電雷が天空を引き裂く轟音
首輪に繋がれた鎖を掴むは
己の腕であるというのか?
神の国は遠くて近いのだ
遠くから「我はまた汝なり」と
近くで囁く声が音もなく響いた