表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

1:半グレ男子に絡まれる

 「お!ルアさんっすか!?」

大阪駅の改札を抜けた先で、1人の男性に声をかけられた。


 男性はサングラスをかけて、フードを被っている。そして見えている腕にはタトゥーが彫られていて、銀色のネックレス。ポケットに手を入れて、こちらを見ている。


 典型的な半グレの姿をしていた。半グレかどうかはわからないが、半グレ男子とでも名付けようか。

 

 「え?ああ、そう……だけど。てか、なんで分かった?」

俺は半グレ男子に聞いた。心当たりが全くない。


 「サブ垢で、目元を公開してたからさ……もしかしてって思って」

半グレ男子は吐き捨てるように言う。そうだった、閲覧が少ない時に目元だけ公開したんだった。

 

 でも、サブ垢で公開したことまで知っているということは、リスナーの中でもかなり絞られるけどな。


 ていうか、めんどくさい人に絡まれてしまったな。とにかくこの場から離れたい。


 「あ、もう行かなきゃ」

この場から離れるための嘘ではなく、1時間後に家で配信する予定なのだ。


 「ルア!じゃあ、一緒に写真だけ撮って!」

半グレ男子はスマホを取り出し、大きな声で言った。


 「いや、ネットで顔明かしてないからダメだよ」

俺は断って、この場から去ろうとした。友達じゃないんだからさ。しかも初対面だし、敬語ぐらい使ったらどうだ。


 「いいじゃん!公開しないからさ〜ぜあ!お願い」

半グレ男子はさっきより大きな声で叫び、俺の肩を叩いた。


 帰宅時で、こんなに人が集まる場なのに大きな声が出せるのか。すごい度胸だ。周りの視線が俺に刺さる。


 「わかった。撮るから、あんまり大きな声でネットネーム言わないでね」

サッと写真を撮ると、またね、と言って、東梅田駅を目指した。


 俺は、半グレに関わるとまずいことを知っている。


 しかも、俺は全てのリスナーと同じように接したい。1人だけ優遇していられないのだ。


 その夜、マカロニという常連リスナーからXにDMが来た。


 [今日はありがとうございました!カッコよかったっす!]


 あの半グレ男子はマカロニくんだったのか。めっちゃ意外だ。アイコンからはそんな感じしないし、話していてもグレている感じはしなかった。でも、会ってみたらイメージと違うことはいくらでもあるか。


 てか、それよりも、今後あの改札で待ち伏せされそうで怖い。


 まぁ、違う改札から出て、回り道して乗り換えをするしかないか。


 遠回りになるが、仕方ない。変なことに絡まれるよりましだ。


 そう考えて、明日は違う道で電車を乗り換えることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ