表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

叫ぶ洞窟

 僕にはとても仲良くしてくれた大学の先輩が居ます。


 先輩はとあるサークルに入っていたそうなのですが、彼らは色々な洞窟に行っては探検していたと言います。


 これはそんな先輩たちがある洞窟で体験した話なのです。


 その日先輩たちは四人のグループで洞窟に入ったそうです。


 洞窟は人里から離れた場所にあり、地元の人たちも滅多なことでは近づかないという場所だったと聞きます。いわく付きというやつです。なんでも一度洞窟に入ると、多くの人間が戻ってはこられないのだとか。


 先輩たちは色々な洞窟に入って探検した経験がありましたから、十分に注意して行動すれば無事に戻ってこられるだろうと考えていたそうです。それで、まさかあんなことになるなんて。


 すいません。話を続けますね。


 先輩たちは洞窟に入りました。そうして洞窟を探検し、皆で無事に奥のか部までたどり着いたそうです。あとは戻るだけ……のはずでした。


 先輩は妙だと思ったみたいです。帰り道が妙に長い。洞窟の形が変わったかのように。でも、何かの間違いだと考えたみたいです。だって、洞窟の形が変わるなんて普通はあり得ませんからね。


 その時、先輩たちは聞きました。「SOS! SOS!」と叫ぶ声を。そうして、洞窟に分かれ道があることにも気づいたそうです。


 先輩たちはその叫ぶ声に不気味なものを感じつつも、助けを求める声のしたほうへ向かったそうです。で、彼らは行方不明になってしまいました。


 え、そのことをどうして知っているのか。ですって?


 いや、不思議なことなんですけどね。先輩はそのことを僕に電話で伝えてきたんですよ。おかしいでしょ。先輩は人里離れた洞窟の中にいるのに、僕へ連絡が取れているんです。


 ええ、そうです。連絡が取れているんですよ。もう七年も前に洞窟で行方不明になったはずの先輩からね。


 彼は今も助けを求めています。「助けてくれ! 助けてくれ!」と叫ぶんです。着信を拒否してもスマホの電源を切ってもなぜか先輩からの電話が来ます。


 何度も何度でも、そいつはぼくに助けを求めるでしょう。僕をあの洞窟へ誘うでしょう。でも、僕はあそこへ近寄るつもりはありませんよ。だって恐ろしいですから。


 あなたはそれを助けに行こうと思いますか。もしかしたら本当に暗闇の中の何かが助けを求めているのかもしれない。でも、それは逆に僕たちに害を与えようとしているのかもしれない。


 確かめたいなら、確かめるのは簡単なことだと思います。


 だってこの話を知ったあなたにも、それは助けを求めるでしょうから。  

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ