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7.袋の鼠

 天文16年(1547年) 8月 志摩国 国府砦

  滝川 彦九郎(一益)


 海賊衆・権八に案内された俺たちはあの後、波切城主の九鬼重隆殿と面会。血判状をみた重隆殿は事態を重く受け止め、兄である当主・九鬼定隆へと繋ぎをとってくれた。


 そして定隆殿に面会できたところまでは良かったのだが、血判状の内容に激昂。志摩十三衆を逆に攻めると言い出す始末であった。


 その九鬼定隆のステータスはこれ。

 「 九鬼 宮内大輔(定隆) ステータス 」

 統率:75(−20)武力:90(−20)知略:35(−20)政治:40(−20)

 「 所持 」

 ・なし

 「 スキル 」

 ・病気 (全ステータス: −20)


 定隆が病で亡くなるのはまだ先のはずだが、どうやらこの頃から身体を蝕んでいたようだ。お陰で低かった知略もかなりまずいことになっていて、もはや当主として正常な判断は難しそうだ。


 怒りに我を忘れる定隆殿をなんとか家臣も含め(なだ)めると、嫡男・浄隆が血判状に名前の無かった国府家に確認を取ろうと提案。何故か俺を連れて国府砦へとやってきた。


 なんで家臣でもない、ただ血判状を持ってきた俺も連れて行くんだ!?証拠は渡したんだからあとはお前らでなんとかしてくれぇ……。


 ちなみに俺を連れて来た九鬼宮内少輔(浄隆)のステータスはこれ。

 「 九鬼 宮内少輔(浄隆) ステータス 」

 統率:78  武力:74(−10)  知略:73  政治:70

 「 スキル 」

 ・虚弱体質 (武力: −10)


 当主・九鬼定隆を筆頭に腕っぷしの強さが物を言う海賊衆なだけあって、九鬼家臣達は皆がとんでもなく鍛え抜かれた身体をしている。ステータスも武力が高い人が多いのだが、そんな中で嫡男・宮内少輔(浄隆)は全ての能力がそこそこ高い。

 

 だが、惜しいかな……身体が生まれつき弱いらしく、武力ステータスにマイナスが付いている。その分、知略・政治が高くて領地差配の代官や領主としては優秀そうだ。


 「それでぇ、最近志摩で最も勢いのある九鬼家嫡男の宮内少輔(浄隆)殿が、我が国府(こうふ)家に一体なんのご用ですかな? 」


 この胡散臭そうな笑顔が特徴的な中年の男が国府当主・内膳正(別名:三浦新助)だ。志摩十三衆の中であの血判状に名前の無かった唯一の男。


 国府内膳正のステータスはこれだ。

 「 国府 内膳正(三浦新助) ステータス 」

 統率:68  武力:54  知略:87  政治:72


 武力ステータスは大した事はないが、知略・政治がとても高い。俺の政治:85では内膳正の知略:87を説得できないし、その逆に内膳正の政治:72では俺の知略:75を説得はできない。五分と五分の外交になりそうだ……。


 「此度は我が九鬼家を取り巻く志摩地頭の(たくら)みについて国府殿がなにか聞いておらないか、お伺いに参りました」


 「はてさて……。企みなどとは物騒な」


 飄々とした表情のこの男。他の志摩の地頭の名前があるのにこの男だけ誘われぬことなどあり得ないだろう。何か理由があって断ったのか、それともなにか迷いがあるのか……。


 「国府殿にも、なにかお誘いがあったのではないですか? 当家を襲う仲間にならないかと……」


 「ほぉ……。なかなか物騒な企みで御座いますなぁ。なにか証拠でも御座いますかな? 」


 「証拠ならここに。滝川様、あれを。」


 「はいよ。では、国府殿。こちらの血判状をご覧ください」


 まったく、なーんで俺が助手のように扱われるんだ……。孫六郎(重秀)も俺の後ろで笑いを堪えるんじゃない!!こうなれば【 舌戦 】で乗り切ってやる。俺と国府内膳正の政治・知略ステータスはほぼ互角。だが、俺には血判状があるのだ!!


 いざっ!!【 舌戦 】


 「これはこれは……。どうやら本物の血判状のようですね。どうやってこれを? 」


 「俺には忍びに伝手があってね。これくらいは朝飯前よ。これを見ると志摩主要な十一の御家が血判を押している。だが、内膳正の印はない……はて、どうしたことか」


  【 舌戦結果 】

 滝川一益・政治: 85(血判状: +20) 対 国府内膳正・知略: 87

 滝川一益の勝利!!


 「なるほど、九鬼殿は良いご友人をお待ちですな……。たしかに当家にも誘いはありましたが、断り申した。代わりに九鬼にも加担はしないという条件でな」


 俺が【 舌戦 】を発動しなくてもそのまま説得できたような気もするが、とにかく国府殿にも誘いがあったことが判明したぞ。これで九鬼家が狙われている事は明らかになったな。


 「何故、国府殿はこの血判状に賛同しなかったのですか……」


 「儂は昔、伊勢別宮の長官を襲った時、其方のお祖父様とお父上に戦で助けられたことがあってな。宮内大輔殿が生きているうちは敵にはならん」


 そう言う内膳正は不敵に笑っていた。コイツは油断ならねぇな。九鬼定隆には恩があっても九鬼家に恩があるわけじゃない。定隆殿が病で亡くなれば、やはり九鬼家は志摩の地頭から袋叩きにされるだろうな……。


 「わかりました……。このこと戻って九鬼家中に伝えても宜しいですかな? 」


 「あぁ、もちろんよいぞ。それと、なんでも宮内大輔殿は最近お身体の調子が悪いとか……。宮内大輔殿にはお身体大事にせよとお伝え下され。ふふふっ……」


 「……ははっ。(しか)と伝えまする」


 不気味に笑う内膳正に不安を抱きつつ、こうして俺たちは国府砦を後にした。はてさて、これで言質と血判状が本物だと言うことが証明はできたが、どうやって九鬼家臣達と定隆殿を説得したもんかなぁ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 大公伝の実況動画みたいな小説ですね
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