隕石
こんにちわこんにちわ。
私と君の出会いは隕石が地球に落下すると言われた十分前。
地球が終わると言われても私は別に悲しくはなかった。だって、私には両親がいないだもん。悲しくなるわけが無い、この世界に未練もないし生きたいと願う力もない。
だから、私はひとり終わり行く世界を歩いていた。空は隕石が迫っている影響で赤く染まっていた。
住宅街の電気はまだ生きている、こんな時でも電力会社の人は必死に働いてくれている。なのに、私はふらついて何もなしえてない。これが心残りってやつかな。でも、今そう思っても、もう遅い。だって、地球は十分後に壊れてしまうのだから。
赤い空を見上げて何を願うのだろう、私は。いや、願えないか。生きる気力がないのだから、願うこともない。
隕石の熱で暑くなったアスファルトの上をカゲロウと共に私は歩く。行くあてもなく。ただ死に場所を求める骸だ。
骸が行き着く先は天国だろうか、それとも地獄だろうか。いや、どちらでもいいや。だって、私は生きる気力がないのだから。宛もなく放浪する、まるで奥の細道だ。
前を向かず歩いていたせいだろうか。人生も前を向いていない。そんな私だから彼の肩に当たってしまった。ドンッと、力強くまるでダンプカーに押されたような衝撃が肩に走った。折れたかと思ったけど無事だった。
「ご、ごめんなさい!だ、だ、だ、大丈夫ですか?」
彼は酷く動揺し捨てられた子犬のようで愛くるしかった。愛おしい、あっ、これは一目惚れだ。地球が終わる十分前に私は一目惚れをした。いや、でも私は恋をしてはならない。だって、私は生きる気力を持ち合わせてない。でも、やっぱり好き、ちゅき。気持ちは抑えられない、抑えたらワンフォーオール譲渡のように四肢が爆発してしまう。
「大丈夫ですよ、私は強いですから」
年上の女性のように振舞っているが私は十歳だ。彼は見た所六十三歳ぐらいかな。白髪の髭が美しい、まるでサンタさん。存在したんだ、サンタさんは。ハッピーメリクリ。
「そのお髭触ってもよろしいかしら?えっ、でも触ったらダメよ。私、だって私は生きる気力がないのだから」
「ほっほっ、言わずに触ってくれまえ」
「あら、よろしくて?」
私はそうしておじいさんの髭を触った。そしたらなんと、赤かった空が青色に戻った。どうして!?私は困惑した。おじいさんも困惑していた。
「この髭が世界を救った?」
そう思っていたけど、私達の目に3Dメガネがかかってるだけだった。おじいさんも私もびっくり、3Dメガネが目にかかっていたのだから。
そうこれは、私とおじいちゃんが映画を見た話である。
さよならさよなら。