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天女  作者: 南清璽
95/112

天女 第95回連載

「同じく御曹司の妾にでもと考え、君の伝手で会えるかもしれないと話してみたが。でも、会いたくないとね。」

「それはどうして。」

 Kの、その言葉には、訝しさとも嫌悪ともとれるものが滲み出ていた。一方で、愉快さも感じてしまった。むしろ、その風体に面白みを見出していたのかもしれない。自宅で会う時のような、妙に威厳を示す具合ではなく、上着こそ着ているものの、ネクタイもせず、ただ、白いシャツにそれを羽織る姿が、やけにみすぼらしく感じた。

「私の出る幕ではない、とね。きっと二人が睦まじく過ごしていると思ったんじゃないだろうか。」

「だが、状況が違う。」

「それは、どういうことかね。」

 もちろん、Kが述べようとする処は、見当はついていた。それが、御曹司とご新造様の夫婦が如何様にあったかということあるぐらい。そう、夫婦という仮面を被ったものであることを。

「あの二人は、夫婦の体を為していない。何でも旦那は、ご新造様に触れやしないらしい。」

 Kのその言葉に、一瞬であるが、伏目がちに顔をそらせた。もっとも之が大仰な振りであったのは、確かだ。しかも、こんな仕儀は無用なことだ。いずれにせよ、Kに、ご新造様が、天女の居場所を調べて欲しいとの意向を伝えなければならないからだ。そうして、自身もその事情を存している旨も知れるだろうから。

「つい先日、ご新造様にお会いしたよ。偶然にな。」

「何処でだ。」

「友人の芝居を観に行った際、そこに居合わせた訳だ。その折、君が述べた夫婦の事情も伺ったよ。」

 Kは、苦笑とも取れる笑みを浮かべながら、

「聡明なお前だから、俺が、あの夫婦について、何を言わんとしたか察していただろうに。」

 と述べた。そうとも。だが、この段になって、ご新造様が、Kに会いたがっていると伝えていいものかどうか迷う次第となっていた。


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