表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天女  作者: 南清璽
93/112

天女 第93回連載(Kからの呼出)

「遅かったじゃないか。」

「申し訳ない。御令室から、用事を仰せつかったもので。」

 これは、方便であった。約束の刻限は過ぎていた。だが、そうならざるを得ない理由があった。これも、令室から、例の戸籍謄本を渡されたからだ。お館様の死亡が、確かに書かれていた。死亡時刻も、私が作成した偽の診断書のとおりに。今更ながら、このことに感慨を覚える次第となった。ただ、それは一つの峠を越えられたという趣旨だった。そう、何にも疑われずに死亡届が受理され、お館様の戸籍に病死である旨が記載されたという。もちろん、これで、お館様の死亡が殺人によるものだという発覚が、その可能性として全く消える訳では無かった。

「あまりここには長居できないから、端的に話てくれないか。」

 執事から、Kからの例のサナトリウムに来て欲しいとの伝言を受けたのは、今朝のことだった。もちろん、Kなりに、何か不可解な事由が存し、それを私に質したいのだろう。むしろ、こういった窮地をどう抜け出るかの算段が、まるで何かのトランプ遊びやポーカーを興じる様な感覚を得ていた。

「先日、お前は、あの看護婦から、預かった鍵のすべてだといって渡してくれたが、此処の机の抽斗に、鍵が一つ残ってたいた。だが、看護婦に電話で訊いたら、確かにすべての鍵をお前に渡した、と言っていた。」

「単に勘違いしただけじゃないか。」

 思えば、相手はKだ。こんなありきたりののことを述べたところで通用しないのは分かっていた。ただ、これ以外に、如何にも、とKに思わせる物言いが浮かばなかったのも事実だ。他に何か不審な点があったというのだろうか。だが、皆目見当がつかない。疑わしい点をただされ様とも、此処は、然程に無気にさえならなかったらそうは悟られはしまいと考えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ