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天女  作者: 南清璽
88/112

天女 第88回連載(死の悼み)

「しばらくは、此処にいてもいいらしい。」

 天女に、令室の、その言葉を伝えた。でも、それには、そっけなく「そう。」とのみ答えた。そうして、感慨を伴い、

「あんな人だったけど、亡くなってしまうと、哀しく思うものね。」

と述べるのだった。その様子から、どうやら、お館様の死が、この手による殺人だとは、勘付いていないことがわかった。ただ、その死を悼む言葉には、うべなうことができずにいた。

「亡くなったのは、残念ですが、この心情としては、複雑なものがありますよ。ところで、これからも、この部屋で過ごすつもりで?」

 一応として、心持ちを伝える言葉を添えた。天女は、言葉を発せず、うなずくのみだった。ただ、殺害したお館様を連れ出してからは、この部屋から一歩も出ずにいるのは、気がかりだ。

「寂しいのではなくて。此処に誰もいないと。」

 もちろん、これは、天女の、亡きお館様への気遣いだった。ただ、これが一つの方便であると、捉えることも出来た。それは、この館に留まる理由として。

「友人に頼んで、君のことを世話してくれる人を探してもらおうと。」

「それは誰かの妾に、ということ?」

「そうですよ。」

「だったら、好きなだけ贅沢させてくれる、お金持ちの殿方をお願いしますよ。」

 私は、それには、「それも然りですね。」と述べた。その一方で、場合によったら、御曹司の妾になれるかもしれないことも、告げようか迷っていた。何故か、確かめるべきだと思う次第となっていた。そう、天女の想いが、重要であると。それ自体、気持ちに添えるものでなければ、天女は幸せになれないと考えた。

 だが、現には言い出せなかった。思えば、余りにおこがましいことではないか。天女が、幸せになれないと、この私が思う事自体。でも、やはり、聞いておこう。

「今でも、会いたいですか?あの御曹司と。」

「どうして、そんなこと聞くんだい。」

「友人の伝手で会えるかもしれないので。」

「でも、結婚しているんだろう。まさか?」

「そうですよ。選択肢の一つです。あの御曹司も。」

 


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