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天女  作者: 南清璽
80/112

天女 第80回連載

 天女に関することを、こんな風に話し続けるとしても、行きつ戻りつを繰り返されるだけだろうから、この話題から離れたいと思っていた。到底、何らかの答えが出るものでも無いし、このまま、無為に話し込むことも性に合わず、それにご新造様に尋ねたいこともあった。

「Kの名前が出たもので。お尋ねしたいことが…」

「家出して、その方の八ヶ岳の別荘に行く話?」

「お察しがいいですね。」

 だが、Kの名前が出たからというのは、ある種の取り繕いだった。正直、聴くか聴くまいか迷っていた。だが、Kの名が出たとき、それにかこつけて尋ねるのも一案だと思った。ただ、そうした処で、この胸中にあるわだかまりは、悟られるのに違いなかった。そんな想いが逡巡している私をよそに、ご新造様は、あの出奔に関しての事実を述べはじめた。

「正直、戸惑いました。だってとんとん拍子に話が進んでいたものですから。みるみるうちに、Kさんの八ヶ岳の別荘に身を寄せるまで、話が出来てしまっていて。本当は迷っていたのです。家出すること自体。でも、次々とその計画を打ち明けられると、そうむげに出来なくなりました。一方で、不安や心配は尽きず、その気持ちを女中の一人に告げたら、父に知られる処となりました。」

 でも、その説明に腑に落ちない面があった。

「父君は、ご新造様から、告解されたと、述べていらしたのですが。」

「そんなふうに伝えたのですか。」

「そうですよ。」

 それからは無意味としかいえない沈黙がしばらく続いた。やはり、伯爵が、施した作為と考えるべきか。無理やりに、それを慰めにしようとした。

「何だか湿っぽくなりましたね。」

 そんなご新造様の言葉に、ただ、「申し訳ありません。」と述べるしかなかった。

「どうしてもKさんにお会いしたいの。あなたから連絡を取ってくれませんか。」

「分かりました。連絡については、承知いたしました。」


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