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天女  作者: 南清璽
63/112

天女 第63回連載

「疱瘡にさえならなかったら、もう少し人並みの勉強をしていたのに。今からでも遅くないだろう。勉強したらお前みたいになれるかもな。」

 正直、情にほだされかけた。そして定番の、気休めに過ぎない「遅くはありませんよ。」という言葉を発しようとした。だが他方で、それがかえって不誠実に思え、口にはしなかった。それどころか反発をかう様な言い方をした。

「言っておきますが、私は私なりに学を積んできました。そうそう簡単にはいきませんよ。たくさんの書を読み、語学を習得してのことなのです。お館様が如何に努力をしようとも、私の域になるのは並大抵のことでは無理ですよ。」

「今日に限って随分な言い方をするじゃないか。」

 お館様は、そう述べたものの、さして憤慨した様子は見せなかった。いつもならもっと怒りを露わにするだけに、今までとは違うお館様の一面に接し、全てにおいてこの御仁の人格を否定できないものだと、そう感じる次第となった。そんな想いに至ると、次第にこれから犯そうとすることを思い留まらせるものになりうるのではと思わせる、羽目となった。

 だが、このままずるずると無為な時間を過ごすのが何の意味があるというのだ。やはり、やるとなれば今宵しかなかった。というか、今やらなかったら、永遠に実行に移せないかもしれないからだ。だが、その一方で躊躇を覚えてしまったのも事実だ。もちろん、予期せぬ御仁の一面に触れたのが多少なりと影響していた。だが、その点に留まらず、これまでのお館様を自分自身が勝手に作り上げた人物像だと悟ったのも一因だった。

『やらねば』

 こう心中でつぶやいてみた。

「何だ。」

 不意にお館様の方へこの身を寄せたので驚いた様だった。





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