天女 第41回連載
「そしたら、医局のお偉いさんに堕胎のことが知れるところになったのか。」
「そのとおりだ。」
Kは決して余分な言葉を添えようとしない。それが殊に私との会話の時だけのことがどうか知る由もなかった。
「滑稽じゃないかそれを独立不羈と言うのだから。」
「あの産婦人科医らしい。」
そんな短い一節の答えをKは述べた。そうして、Kは医局とは何たるかを講じだした。だが、そう興味を持てるものでもないし、また、例のサナトリウムの処分に関し、Kから聞きたいことがあったため、私は、Kの述べる殆どが上の空で聞くという仕儀になってしまった。もう少しは私の興味あることに話題を変えてもいいのではと考えた。それにお館様が、いかなる所存であそこに産婦人科の医院を開設させたのか興味もあった。
「お館様があの場所に産婦人科医院を始めさせたのは、遊郭の女を診させるためか。」
このように訊ねる一方で、私はKが得意に話す様子を思い浮かべていた。Kはよく、自身しか知らない特別な事柄に関し尋ねられでもしたら、非常に得意関し話し出す性癖ががあった。になってそのことに
「そうさ。ゆくゆくは女郎屋の一つでも持ちたかったのかもしれない。」
だが、正直お館様が女郎屋を持つことには興味が懐けなかった。女郎屋の部屋で煙管を吸いながら火鉢に当たるという光景は想像に難くなかったが、何分、あまりにも絵としては出来過ぎているきらいがあり、かえってありきたりに思えてしまった。そういったケチな商いをすることを性分として認めやすいからだ。
しかし、あの精神科のサナトリウムについて何も聞かないで終わるわけにはいかないので私はあのサナトリウムの処分に関し話題を向けることにした。
「あの産婦人科医に聞いたのだが、君はあそこからそう離れていない精神科のサナトリウムの処分にも携わろうとしているというではないか。君は本当に有用な男だ。」
「お前はそのことを俺に聞きたくてわざわざここまで来たのか。」




