天女 第17回連載(お館様)
好奇の目で見るべきなのだろうか。この場にあって如何なる表情をなすのがふさわしいと云うのだ。本当は、そうしたいところだったが、そんな蔑んだ目で見る訳にはいかなかった。たとえそれがどれ程淫らであっても、その当の本人がお館様である限りは。もちろん、興味が全く持てないものではないが、やはり人前での情事となれば、そうも正視することが憚れるものだが、性として、やはり、そうともいかず、つい横目で見てしまう。何分、抱かれている女の醸すものに幾分か惹かれていたからだ。
だが、当のお館様は、その様子を見ている私のには頓着せず、ひたすら女の軀を弄んでいた。しかも、向きとして焦燥とも捉えられる具合だった。見様によっては、「貪る様な」というありきたりな言い方で収まるものでもなかった。一つには、女は何も感じていない様な程であるばかりに、お館様の営み自体が空回りと言うべき次第に思えた。それが、玩具を生き物と見紛いじゃれる犬の様にも感じられたからだ。
こんな不感症ともいえる仕儀に、私と令室との情交に共通する感を見出していた。やはり同じく、一つの意地から来ているのではと自己流の考察を施していた。もちろん、お館様にそうなる何らかの事情が存するからだろうが、私と同様に意地、いや、それ以上に何らかの自負があればとも思いたくあった。
頓狂でもあったが、一面しおらしくもあった。情事において女に恭悦をもたらすのが男の勤めだ、当のお館様にはそんな想いがあったはずだ。そうなれば、この天蓋が施された寝台を設えた意味も推し量れるというものだった。




