表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天女  作者: 南清璽
108/112

天女 第108回連載

 ご新造に、恋愛と結婚は別異なもので、それは自明でもあると述べたい処だったが、ご新造の言葉のとおり、令室との婚姻に関して、体裁を慮っていると思うと、その程度のことであっても、言えた義理でないと思えてきた。そうして、自身が令室に対し、曖昧な態度に終始しているのに気づくのだった。その反面、愛おしさのあまり、今や、彼女から求められるまでもなく、愛撫し、実事を持っている。こうして、いつしか、そういった負い目から、ありったけの愛おしさを示す仕儀になっていた。そんなとき、安堵を覚えたりもした。満悦の笑み。そう、令室はそういった笑みを浮かべるのだ。

「どうしたのかしら。さっきから何も話さないですいらっしゃる。」

「そうですね。」

 ご新造は、ほのかな笑みを浮かべていた。それがどことなく、蔑みではなく、好意と受け取る仕儀になっていた。

「どうにも意気地がないもので。」

 ご新造は、私が何を言わんとしているかを察した様だった。そう、体裁に拘泥するという。だが、これに深刻さを覚えるものでもなく、

「当てこすりで、どなたかと付き合ってみようかしら。」

と述べるのだった。

 もちろん、受け流すしかない類で、私もご新造と同じく、微笑を浮かべることしかできなかった。ただ、形式的な物言いで嗜めるのも、一つの選択であったが、やはり、無粋な仕儀にしか思えず、少し遠回しに云ってみることにした。

「あなたの夫君だったら、きっと受け流されるだけですよ。」

「そうには違いないけど。」

 意外に、「けど」という言葉に感じ入ってしまった。その収まりきらない感情。感じない訳にはいかない。だからとして何時もながらに先走りし、ご新造の心底を解析を試みるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ