大臣席
旧家の公家である郁芳家には、大臣のいずれかになった時にのみ座ることができる場所がある。
大臣といっても、江戸時代までの内大臣以上のことを指している。
ただ、戦前、戦後を通して、閣僚に名を連ねた者も、一応座れるという規則となっていた。
大臣席と呼ばれるその席は、最上の席とされ、そこに座ることは最大の名誉とされる。
座れる者が指定されているだけで、他にはなにもない、見た目は単なる質素な座椅子だ。
だが座ることで目に見えない力を得ているともされ、それを目指して多くの当主が大臣へとなる動力となったとされる。
合計で17名の当主が右大臣、左大臣、そして太政大臣となった。
そのおかげで、大臣家の中の首座となったとされる。
この大臣席は今もあり、次に座る当主を待っている。