表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

6

トルスタイン目線



領内から送られてきた魔石の商談をするための夕食会が終わり屋敷に帰ると

父が待ち構えていた


満面の笑みで、書状をヒラヒラさせている


内容は、聞かなくてもわかっている

その為に、ここ2年は準備に追われてきた


思い起こせば13年前

俺が8歳、妹のダイアナが3歳の時に遡る

それまで領地内で過してきた俺たちに

王宮から呼び出し………お茶会の誘いがきた


母の親友の側室殿からの呼び出し

内容はわかっていた。婚約を望む第2王子との顔合わせの為だ


我が家の婚姻に王家は干渉できない

爵位を賜る時に条件としてローリック家からの条件

密約を知らされていなかった側室の独断だったのかもしれない


ローリック家と王家の密約

過度の干渉をしない。

そのかわり、魔獣の多く出る森を含めた領地を治め管理する

冒険者を国内ギルドで管理し、有事の際には傭兵として王国の盾とする


貴族としては最大級の誉れである婚約を匂わすお茶会の招集を断ることも必然



そのころの俺たちは、魔の森の冒険に夢中だった

婚約どころか、王族なんて眼中になかった


ローリック家の者は3歳の誕生日を迎えると、魔の森へ入ることは許される

森の入り口あたりの薬草を摘み

さまざまな薬草の効能や調薬を遊びを通じて覚え始める

7歳になると魔獣が出る場所までの入場が許される

冒険者として登録されるのは、領内の者と同じ10歳

ただ、領主として同じ年の者に後れを取っては示しがつかない。

領主の一族の者は7歳を迎えた時から、大人と一緒に魔獣狩りの許可が下りる


妹も俺も、魔の森で過す時間を王都に行って無駄にすることを望まなかった

それが崩れたのが、それから3年後

側室殿は、母に泣きついてきた

母はローリックの一族ではなく、他から嫁いできたので

娘が魔の森に出入りする事に懸念を持っていた

そんな母に甘い父は、妹の婚約を承諾してしまった


ダイアナ6歳、ウィリアム王子7歳

幼い婚約者どうしの誕生だ



それから

社交シーズンを両親とともに王都で過すことになった


父の仕事に同行して外国は行くことも多いため、

マナーや教養、外国語は幼いころから詰め込まれていた

武術も魔の森に行くには必要

今では王族や一部の貴族にしか使えなくなった魔法も

なぜかローリック家には使えるものが多い

俺も土魔法が得意、父は魅了と呼ばれる特殊な魔法を外交に使っている

ダイアナは幼いながら調薬が得意だった


貴族の義務でなければ、学院にすら行きたくないし、行く意味を感じない

お妃教育なんて名目で、ダイアナが度々呼び出され

一緒に俺も呼び出すのは、王子たちの側近候補としてだろうが

ただただ迷惑な話である


幸運な事に、王子たちとは学年が違った

ただグズグズしていると、側近に取り込まれてしまう危険があったから

父に聞いた裏技を使い4年で卒業をする学院を2年で卒業し

王子たちが卒業する前に、側近へ引き抜きが出来ないぐらい王宮での足場を固めた

結果が一番出やすい財務局に入った

面白いぐらい贈賄、使い込み………を見つけた

わかりにくい帳簿が一番の原因だ

領地で使われている方式に変えるのには、上から横やりが入ったが

すでに上役たちの悪事の証拠が手元にあったので、比較的スムーズにすすんだ

もちろん、楯突いた者は罪を明らかにし退場を願った

それだけで、国庫が満たされた

王太子が卒業するころに、側近への打診もあったが

王も財務局から俺を外すことが出来なくなっていた


ダイアナを取られ、俺まで王家に捕えようなどと

考えが甘すぎる


どうやら、王家はローリック家の本望を忘れたのだろう

権力も、財力もいらない、自由が欲しかった

ダイアナが幸せなら、王家に仕えるのも甘んじる

だが、そうなるべき努力を怠ったのは王子だ

密約をないがしろにした事

後悔するが良い




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ