欲しかったのは
4年間の学院生活の中で、楽しかったのは
魔道具作りの講義だ。
俺はもともと、自己流で魔道具を作っていた。
ただ、俺の作った魔道具は
俺と従妹のダイアナしか使えない。
血縁関係か?とも思ったがトルスタインも使えなかった。
全属性を持っている事が原因だったらしい‥‥‥
俺の魔力は貴族の平均ぐらいで、それほど多くはない。
全属性持ちだが、全てが平均的なもの。
反対にダイアナは全属性のうえ魔力もベロボーに強かった。
魔力の鑑定はギルドか教会で行える。
自分の得意、不得意は学院にいれば周りバレるが、
公表する義務はないのだ。
2人にしか使えなかった魔道具。
一般的に使えるように魔法陣を簡略化したり加工する方法を
開発できたのは、学院での研究によって。
俺とダイアナが使う時とは別の仕様になるのは、難点だったが……
俺たちには転移として使える魔道具。
魔法陣の上から、遠方に置いてある同じ魔法陣の上に、
自分も生き物も非生物もある程度の物体が送れるカーペット型の魔道具。
他の者が使うときは転移としては使えず、
非生物のみを転移できる。
他にも空間拡張の魔道具
バックの中に別の空間を作って、許容量以上の物を入れられるものは、
俺とダイアナがペアの物を作れば、空間をそれぞれに共有できる。
他の者には、いくらペアで作っても共有は出来ない。
許容量も、俺たちが使う場合よりもかなり少ないものしか入れられない。
自分たちより利便性がかなり落ちるが、
この2つの発明は画期的な魔道具として、
学生であるが、学院内に研究室をもらえるほどのものだった。
2つの研究に関しては、利権が大きすぎるらしく、
ローリック侯爵家が管理。
魔道具専門の商会を作り、
母とジィ様が代表、誰が発明した事は公になっていない。
ギルドカードにはお金だけを貯めてくれている。
他のいくつかの発明は、学校と王家に権利を口止め料と研究費の代わりに譲渡した。
そんな俺が4年生の時に研究助手として1年生の女の子が入ってきた。
子爵家の長女ではあるユーリ。
学費免除を申請し、その代価としての条件としての仕事。
貴族の娘は、結婚に持参金が必要となる。
裕福ではないユーリの家は、
妹に玉の輿を掴ませるため、ユーリにお金をかける余裕がない。
学費免除で学院を卒業させ、
その後は上級貴族に侍女か家庭教師をさせる予定だったらしい‥‥‥
手先が器用で、
細かい作業を丁寧に行ってくれる。
土魔法と水魔法が得意だが、魔力を多くなく、
容姿も茶色の瞳と髪で、取り立てて目立つ存在ではない。
比べて、妹は金髪、碧眼で愛らしい顔立ちをしており
魔力も上級貴族に嫁げるぐらいの多さは持っているらしく、
ユーリの扱いが、軽くなるのも下級貴族としては、当たり前。
ユーリのサポートを1年間通し、
お互いに好意を持つようになった。
あれだけイヤだった学院に研究の為、といって
研究室に卒業後も居座り
ユーリの卒業に合わせ、俺は領地に帰り
彼女は、伯爵家の令嬢の侍女として働くことになった。
ユーリの卒業の時、そのまま嫁にもらうつもりで子爵家に挨拶に行ったが、
冒険者の身分の俺は、彼女の父親に一蹴された。
持参金相当額の金額を、こちらから払う。と言っても
妹の縁談に不利になる‥‥‥
跡取りの弟に悪影響だ‥‥‥
と、ウダウダ難癖を付けられた
結局は、俺に信用がないのと、
ユーリの稼ぐ金が欲しかったのだろう‥‥‥
こちらが払うといった支度金にも、未練があるのか、
『手紙のやり取りは許可してやる』なんて、偉そうに言われた。
今まで、貴族になりたい。と、思ったことはなかった。
冒険者のまま、好きな魔道具を作れれば良かった。
でも、自分の自由より欲しいものが出来た。
それを手に入れる手段も持っていた。
だから‥‥‥‥望んだ
ユーリの妹が卒業に合わせて、伯爵家との婚約が決まったのを機に
叔父にローリック家で持っている子爵の爵位を譲ってもらう。事にした
もとも学院に入るときに無位では、侮られるからと
用意された地位‥‥
だから、それを望んだ。
そう、それだけ、だったはず‥‥‥
なのに!!
なぜ!!こうなった???
侯爵??いらん、そんなもん!!
叔父もトルスタインも出ていくから、すぐに継げ??
意味わからん!!
なぜ??
何が起こった??
‥‥‥へ?王都にいなくて良い?
そうなんだ
‥‥‥パーティーや社交もしなくて良い?
まぁ、ジイ様はしてこなかったらしいし、嫁候補もすでにいるし‥‥
‥‥‥領地で魔獣を狩って、魔石を王へ献上しとけば、とりあえず良い?
うん?それなら‥‥なんとか
‥‥‥暗部??は母がとりあえず受け持って弟へ?
まぁ、腹黒の弟なら、なんとかしてくれるかぁ??
あれ??これ条件良くない?
騙されてる。っぽいけど、
‥‥‥ジイ様と母で次代の教育をするから、さっさと結婚しろ?
いや、出来るものなら、明日にもしたいけどさぁ~
その為に、苦労してんじゃん!!
なんだか、わからんが
「王都へ行く馬車に乗れ」と
ジィ様と母に馬車の中に放り込まれた。
母が一緒に行ってくれるらしいが………
保護者同伴の呼び出しって、いつ以来だ??
とりあえず、嫁(仮)の為
やれることはやる!!
でも、誰か
状況を説明してくれ~~~!!




