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後一条天皇中宮 藤原威子

藤原道長の四女。

生母は鷹司殿、源倫子。


一条天皇の中宮彰子、三条天皇の中宮妍子の同腹の姉妹です。

1012年(長和元年)、十三歳で女子の成人式である裳着の式を済ませると従三位、尚侍(ないしのかみ)に任官されます。


それから六年後の1018年(寛仁2年)。

後一条天皇のもとへ二十歳で入内します。

後一条天皇は、威子の姉、彰子の産んだ皇子ですから二人の間柄は叔母と甥ということになります。

そのうえ、この時天皇はわずか十一歳。

威子の側が九歳年上という年の差カップルでした。

入内して間もなく女御の宣旨を受けた威子は、その年のうちにはやくも中宮にたてられます。


これにより道長は、大皇太后 彰子、皇太后 妍子、中宮 威子と三人の后の父となります。有名な『

この世をば我が世とぞ思ふ望月の かけたることもなしと思へば』という歌を詠んだのはこの威子の立后の祝いの席だったと言われています。


しかし、満ちた月はあとは日を追うごとに欠けていくのが自然の摂理です。

道長の一門の繁栄はこの時を頂点として、少しずつ翳りを見せ始めます。


彰子が皇后定子、妍子は皇后娍子というそれぞれ強力なライバルに脅かされていたのに比べ、後一条天皇の後宮には后はおろか、他に女御すらおらずまさに威子の独壇場状態でした。


けれど皮肉なことになかなか皇子には恵まれません。

そうこうしているうちに、東宮敦良親王(後一条天皇の同母弟)のもとへ入内していた妹の嬉子が、1021年(寛仁5年)に一足早く皇子を出産します。のちに後冷泉天皇となる親仁(ちかひと)親王です。


それから三年後。

入内から九年目にしてようやく威子が出産した御子は女の子でした。

二年後、再び威子は身ごもりますが生まれてきたのはやはり女の子……。

この時、威子はすでに三十代を迎えようとしていました。


このまま、後宮には威子一人だけという状況が続けば後一条天皇には跡継ぎが出来ません。

道長の五男で、威子には同母の兄である教通が娘の生子を天皇に入内させようと考え、天皇も承諾の意向をみせますが、それを知った威子は悲しみ、宮中から退がってしまいます。

これを母の倫子や、長兄の頼通に強く非難され、教通はやむなく娘を入内を諦めました。


それから六年後の長元9年(1036年)。

ついに世継ぎの男皇子に恵まれることのないまま、後一条天皇が29歳の若さで世を去ります。

後宮にただ一人の后しか迎えなかったのは、この時代の天皇としては異例のことでした。


天皇の崩御からわずか四か月後の同年九月。

威子も夫のあとを追うように38歳で世を去ります。


後一条天皇がほかに后を迎えなかったことと、教通の娘の入内を阻んだ(?)エピソードからなんとなく、年上の嫉妬深いヒステリー妻みたいなイメージのある威子さんですが。

後一条天皇とのご夫婦仲は睦まじかったみたいですね。


『栄花物語』には最初の皇女、章子内親王の出産の後、

「皇子でいらっしゃらなくて残念だこと」

と言い合う宮中の女房たちを、後一条天皇が

「何ということを言うのだ。無事にお産をなさっただけでも十分なことではないか。姫宮だから残念などということがあろうか。古には女帝があった例もあるだろう」

とたしなめられる場面が描かれています。


とはいえ、本当にこの時点で女帝が誕生していたら藤原摂関家がそれまで築き上げてきた、娘を天皇の后にして外祖父になることで政治の実権を握る、というシステムは崩れてしまうわけなのですけどね。


二人の間に生まれた娘たち、章子内親王と馨子内親王はそれぞれ、後冷泉天皇、後三条天皇のもとへ入内して后となっています。


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