その十
「「「「はぁ……」」」」
部屋中が四人のため息で満たされる。一斉に床にへたりこんだ。
「なんとかなりましたね」
「今のでどっと疲れましたわ」
「明日筋肉痛かも。……学校休む」
「いつもだろ。いい加減来いよ」
目つきの悪い茶髪の少女はやっとの思いで立ち上がると、おもむろに部屋を見回した。
「でも、だいたい片付いたな」
「はい。なんとかなるものですね」
「……これで、なんとかなってる方なんですの?」
「そこは気にするな」
「じゃあ、後は髪を整えるだけですわね」
「え!? いっ、今なんと?」
怖々と一歩身を引く金髪の少女。しかし行く手にはホコリをかぶった鏡台が立ちふさがっていた。
「……ですから、クシか何かで髪を整えようと」
「生まれてこの方ほとんどそのままのこの髪を!?」
「何をそう嫌がるんですの? 触られたくない気持ちはわかりますが」
「ていうか、お前よく万美に結んでもらってんじゃん。ツインテに」
「い、いや、まぁ、そうですけれども。男子に会うから整えるって、どうなの?」
「普通ですよ」
左側の進路を塞ぎながらにっこりと笑う万美。その手にはすでに二つのヘアバンドが握られていた。
「そうですわよ、恥じらうことなんて何もありません」
正面に立ちふさがる魚々乃女の手の中で、ブランドもののクシが光る。
「……痛いのは最初だけだって」
残る右側に立ち、樹里たちはリオを半円状に囲い込んだ。
「最後のおかしくない!? ねぇ、髪を整えるんだよね、ねぇ!?」
「「「フフフフフ……」」」
怪しく笑う三人に、リオは鏡台に座らされる。
「ツインテールにしましょうねー」
「えっ?」
「いつも思うけど、お前ホントに手入れしてないのかよ。髪痛むぞ」
「それにしては、綺麗な髪ですわね。ん?」
クシで髪をといていた魚々乃女が、ふと、足元に垂れた黒いひも状のものに気づく。意志を持ったようにふらふらと揺れるそれは、先端にプラグがついていた。
力任せにぐんと引っ張ると、なぜか、リオの黄色いミニスカートまで続いていた。
「あっ、それは――――」
カチッと小気味の良い音がして、鏡に映るリオの瞳が淡い黄色に輝き出す。
次の瞬間、リオの両目からビームが放たれ、閃光と轟音が壁もろとも鏡台を吹き飛ばした。
「へ……?」
真っ青になって震え上がる魚々乃女。握っていたプラグがポトリと床に落ちる。
「…………私のせい、ですの?」
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