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幼馴染が女勇者なので、ひのきの棒と石で世界最強を目指すことにした。  作者: のきび
第三章 ミスティアとクロイツ ―ふたりの魔王討伐―
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クロイツと平和な日常 そのニ

 宿屋に戻ると執事とメイドが出迎えてくれた。どうやら早くも私達がしたことが知れ渡ったようで、なぜか感謝された。

 この宿屋もミカジメ料としてかなりの金額をとられていたそうだ。もう、ああなってはミカジメ料など取ることはできないでしょうね。

 宿代はいらないと言われたのだけど、それとこれとは別だと良い規定の料金を払った。

 部屋に戻った私達は宿屋に戻ってきた安心感からか同時にため息をつき、なんだかそれがおかしくてみんなでプッと吹き出した。


 ふう、今日はなんか疲れたわね、私はベッドに飛び乗り横になるとみんなを見渡した。

 青紫の髪の毛がきれいな眼鏡っ子のディオナ、オレンジ色の髪のおさげが可愛いティア、そして金髪の世界一可愛いうちの嫁アリエル。

 うん順調にハーレム化が進んでるわね、ぐふふ。


 ディオナを見ているとアイテムバックから裁縫の道具を取りだし店を開くと個数をチェックしだした。


「あ!」

 不意にアリエルが大声をあげて叫ぶ。


「どうしたのアリエル?」


「蚤市でなにも買ってません……」


 ああ、そういえば騒動のせいで買い物どころじゃなくなってたしね。まあここよりも迷宮都市に行ったら色々買ってあげる約束をしてなんとか機嫌がなおった。


 それよりも気になることが、先程からティアがずっと私を見ているのだ。すごい気になる、私なんかしたっけ?


「ティア、さっきから熱い視線を向けてくるけど私に惚れちゃった?」

 私が軽口で冗談を言うと、ティアはそんなわけ無いでしょうとお怒り、でも今日は格好よかったですよとのたもうた。

 あらあらあらあら、ティアちゃんも私の魅力にやられちゃいましたか? でもお姉さん貧相な娘は守備範囲外なのよ、ごめんなさいねあと5年、いや3年後にもう一度今の言葉いって欲しいですわ。


「そう言えば、ティアは何歳なの?」


「私は13歳ですよ」

 まだ成人してないのか、ならあの貧相な体もうなずけるわね。いや成人してても貧相な人はいるのだけど。


「ディオナは何歳なの?」

 私はディオナに年齢を聞いたのだがチェックに忙しいディオナの耳には私の言葉は届かなかった。ティアが言うにはディオナは熱中するとすごい集中力で周りの雑音が聞こえなくなるのだと言う。

 私の問いかけは雑音ですか、そうですか。チェックに忙しいディオナの代わりにティアが答えてくれた。

 ディオナは21歳でティアとは母親が違うそうなのだ。それで髪色とバディが違うのか。

「クロリアさん、なんでいちいち私の胸を見て納得してるんですか?」

 そう言うとティアは私のとなりに腰かける。


「あ!」

 再び、アリエルが叫ぶ。どうしたのと訪ねると、ディオナの髪色は呪われた装備も装備できる証ですよと言う。


「呪いのアイテム? なにそれ怖いんだけど」

 アリエルが言うには呪いのアイテムを装備するとパサーク状態になり誰彼構わず攻撃しだすのだが、青紫の髪を持つものはその呪いの効果を免れた上にそのアイテムの能力を余すことなく使えると言われているという。


 アリエルの考えでは、そのアイテムは元々青紫の髪の一族のアイテムで他のものが使えないようにしたのではないかと思うと言う。


「じゃあ、お姉ちゃん戦闘の才能があるってことなんですか?」

 ティアが少しふて腐れぎみにそう言うとアリエルはそうねとうなずく。


「オレンジ色は、オレンジ色はなにか無いんですか?」


「オレンジ色は割りと一般的よね」

 その言葉にティアはうなだれる。私がまあオレンジ色の髪の毛可愛いから良いじゃないと言うと機嫌(きげん)を直して、へへへと笑う。


 それとは対照的にディオナがうんうんと唸っている。どうしたのと言うと普通の服じゃ戦闘時の耐久性に欠けるんじゃないかと言う。確かに普段着で戦闘に行くのはお金の無い初心者くらいのものだ。


「皮とか加工できないの?」

 その問いにプライドを傷つけられたのか少し声を荒げてできますと言うが特殊素材などの加工は門外不出なので難しいかもしれないと言う。


 悩むディオナにアリエルが、それなら私の知識の苗(ダウンロード)で特殊素材加工技術いれましょうか? と事も無げに言う。


「できるの?」

 と言う私の問いに姉の書庫に色々な生産系の本もあり知識だけはあると言う、でも技術はないのでうまくできるかはディオナ次第だと言う。もちろんディオナは二つ返事で是非とお願いしたのは言うまでもない。


 でも、そうなると特殊素材が無いと言う。ならば取りに行こうと言うと今度は加工するすべが無いと言う。

 当然アリエルはその知識をすべて有している。

「もう必要なもの全部知識の苗(ダウンロード)しちゃえばいいんじゃないかな?」

 私がそう言うと二人は「それだ!」と良いアリエルの持つ全ての基本生産知識をディオナに分け与えた。

 そして、その際ディオナは攻撃魔法中級回路と補助魔法初級回路を持っていたので使える魔法を全て覚えさせた。

 とはいえ、ヤバイ知識はさすがに渡せないわよね。ディオナも狙われかねなくなるからね。


 ティアを見るとまたむくれている。どうしたのと聞けばお姉ちゃんばかり強くなってと悔しいと言う。

 ズルいじゃなくて悔しいのか。向上心ある証拠ね、とは言え、ティアには魔法回路がない。ステータスも平凡だ、特に突出したものはない。だけど……。


「ティア、あなたはなんの才能もないわ、でも世の中にはねなんの才能もない人が死ぬほど努力して才能ある人を抜くこともあるのよ」


「そんな人いませんよ」

「いるわよ、なんの才能もない女の子が死ぬほど努力をしてS級冒険者になったそうよ、だからティアも冒険者になると決めたなら死ぬほど頑張りなさい」

 ティアはコクンとうなずくと私にありがとうと言い、アリエルに私も戦闘技術を教えてくださいと頼み込んだ。


 そして全員一通り知識の苗(ダウンロード)をして二人に軽くアイキドーで組手をさせたら今一動きが悪い。アリエルが言うにはスキルの適正値が低いからではないかと言う。つまり実践不足。私はあらゆる格闘技がS級だ、だけど二人はそもそも格闘技のスキルがない。スキル適正値がない人に知識の苗(ダウンロード)しても大きな効果は得られないわけか。


「そんなにうまい話はないわけね」


 とは言え、このまま頑張れば普通にスキルも手にはいるし強くなる。他のなにもない人よりも遥かに有利なのだと言う。

 知識の苗(ダウンロード)の検証が終わるとディオナは私の体のサイズを計らせてくださいと言う。なに私のスリーサイズ知って妄想したいの? でも私はアリエルのものだから愛してあげれないわよと言うと顔を真っ赤にして怒られた。

 どうやら服を作るのに体の正確なサイズを知る必要があるそうなのだ。既成(レディーメイド)サイズで良いわよっていったらプライドが許さないとまた怒られた。


 うーなんかみんなの私の扱いがひどい気がするのは気のせいだろうか。

『我はうぬらのマスターぞ。我が命を聞けぬと言うならばその体で思い知ることになろうぞ』何て言ったら余計ひどい扱い受けそうなんで言いませんけどね。


 そんな妄想をしているとディオナが私の体のサイズを計りだした。糸を持ち私の背中に手を回すとそれで胸のサイズを計る。

 この計る行為なにげにドキドキするわね、青紫の髪を上げたディオナのうなじは色気を出すには十分な年齢だ。腕もあるだろうけどこの色気で客が多かったんじゃないかと下衆な勘繰りをする。

 私って最低だわ、バカな考えをした私を自己嫌悪をしてるといつのまにかサイズ計測は終わっていた。


 くっ、自己嫌悪なんかしてないで堪能しておけばよかったと後悔。


みんなのサイズを計り終えると明日の予定を話し合った。

「アリエルは明日からしばらく魔導具屋で修行で、私たちは素材取りに近場の山に行くと言うことで良いかしら」

 皆それで問題ないと言うことなので今夜は明日の準備をしてお風呂に入り就寝することになった。



 チュンチュン


 夜のアリエルは化け物でした……。


「おはようございますクロリア様」


「おはようございますアリエル様」

 なんですかそれとコロコロと笑うアリエルは可愛いが、昨日の夜で主従は逆転した。私は負けたのだ。


 私はかいがいしくアリエルの服を用意して服を着せようとするがやめてくださいと怒られた。それは妻でもメイドでもある私がやることだと。


「いいえ、昨日私は自分のふがいなさを痛感いたしましたので」


「本当に怒りますよ」


「ごめんなさい」

 そう謝るとアリエルは私が服を着るのを手伝う。アリエルが耳元に顔を近づけて『でも夜伽は手加減はしませんからね』と言って指をペロリと舐める。


 ふえええ恐いよぉ、うちの嫁は夜の知識も最強でした。


「おはよ~ございます」

 ティアが寝ぼけ眼で眼を擦りながら私たちに挨拶をする。私も挨拶を返すと昨日はお楽しみのようでと言われた。声を押さえていたのに聞こえてしまったかと反省したが。この挨拶は宿屋の様式美だと言う。


「まあ、聞こえてましたけどね」

と言うと舌をペロリとする。


 おなじペロリでも淫靡(いんび)幼気(いたいけ)でここまで違うものなのねと妙に感心しているとディオナも腕を伸ばして起床したようだ。

 髪を下ろしているディオナもなにげにエロいわねと眼福していると、嫉妬したアリエルのつねり攻撃を受けてしまった。


「浮気じゃないですごめんなさい!」


「浮気してないなら謝る必要無いですよね?」

 そう言うとニコリと笑うが顔は笑っていない。夜お仕置きですねと聞こえた気がして私は震え上がった。






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インフィニティ・プリズン~双星の牢獄~ シリーズ
『おさじょ』に出てくるアディリアスとウルティアの二人の神たちの物語 『聖剣のネクロマンサー』
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