鏖殺
貴族の子弟としての教示からだろうが。
操を汚すぐらいなら死を選ぶ。
それは立派かもしれないが残されるものの事も考えて欲しい。
あなたが死んだらミリアスが悲しむ。
むしろ助けられなかったことで自分を責め自害するだろう。
その事をサラスティに言ったら反発されてしまった。
まあ、幼少の頃からそう教わっているなら考えを変えることはできないか。
人の考えを無理矢理変える気はないが、そんなことをさせないためにも私とパーティーを組んでいるときは完全に守ろう。
「やめぇてぇくれぇ」
ああ、そうだ忘れていた。
私は盗賊のガブルの前に来てドリルは男のロマンを解除した。
手足がぐちゃぐちゃな上に肛門から血を流している。
「さて教えてもらいましょうか?」
「だから言うっていったろうが!」
「うるさいですよ」
ガブルの大斧で傷口を潰す、情けない声を上げてじたばたとする。
まあ、動くことは叶わないのだけどね。
「な、何でも言うからやめてくれ」
「まず、なんで私達を襲ったの?」
「仲間を殺したからだ」
「なんで私達が殺したのを分かったの?」
「馬車だ」
どうやら馬車に禿鷹盗賊団のマークがあるそうなのだ。
それを途中の村にいる準構成員に見つかって電話のような魔導具で連絡をつけたと言う。
それと私が皆殺しにした禿鷹とコイツらは別の部隊らしい。
私が殺したのはチバケインの禿鷹でコイツらはグルヘン王国の禿鷹だそうだ。
「で、どこまで私達の情報は流れてるの?」
「本部まで伝わってる。今俺たちを殺しても永遠に追われるぞ」
「そうですか」
「だから取引だ、俺が掛け合ってやるだから俺の命を助けてくれ」
バカなやつね、まだ命があると思っているんだから。
「ドリルは男のロマンを破棄、標準固定」
検索、禿鷹盗賊団構成員及び準構成員。
マップに大量の光点が着く、照準固定。
その光点に赤いサークルが付く。
全部で13,926人か、多いけど躊躇などしない、仲間に危険が及んだのだ、放置すれば更に危険な目に遭うかもしれない。
せめて痛みを感じずに殺してあげる。
「合成魔法剣! 真・星王剣・双子座・真・星王剣・射手座」
真・星王剣・双子座は剣に即死効果の闇の衣が纏う、その衣に触れたものは一瞬で黒化し灰になる。
真・星王剣・射手座は目に見える全ての敵に、剣を降るだけで攻撃が当たる。
「逝け……。 星王剣ノ綺羅星ZERO!」
勇者の剣が幾千もも星のきらめきを発するのと時同じくして、マップの光点が消えていく。
まるでゲームだわ、唱えただけで大量の人が死んだ。
ガブルの頭上にも剣が現れて突き刺さり、瞬で体が黒くなり灰になる。
「ごめんとは言わないわ」
私は剣を鞘にしまい、ミリアスを連れて宿屋にもどった。
″アハハ、キャッキャ、にゃんにゃん″
部屋に戻ると3人が輪になって踊っていた。
「お帰りマーちゃん」
ゼロスは私の目の前に来ると頬を引っ張り顔が怖いよと言った。
大量虐殺をした後だ険が出ても仕方ない。
「そうですよ、お姉様ジュエリの頭をなでて落ち着きましょう」
「にゃ」
そう言うとジュエリは頭を差し出す。
モフモフ、モフモフ。
「ごめん、ちょっと殺気だってた」
あれだけの人を殺したのだ殺気立たない方がおかしいか。
「問題は解決したんですか?」
「もう未来永劫問題ないわよ」
私のその言葉に皆が安堵のため息をつく。
その日は色々あって疲れたせいか軽めの夕飯を食べすぐに就寝した。
とは言え ベッドに横になっても眠れない。
あんなに大量の人間を殺しても良かったのだろうか。
殺さなければ殺される、この世界は弱肉強食だ弱い奴は死ぬしかない。
頭では分かっているけど、現代人としての感情が私を苛む。
ジュエリの部屋に行こうとするマリアを拘束して、天井に吊るすとゼロスの部屋に向かった。
やはり部屋の隅でまた震えていた。
私も人肌が恋しかったのでゼロスには悪いがちょうどよかった。
二人でベッドに入ると私はゼロスを抱き枕のように抱きしめる。
「マリアとは打ち解けたみたいね」
「うん、マリアちゃんには打ち明けたんだ。女の子は騙せないしね」
「そうねミリアス以外は知っておいた方が良いかもね、あとマリアはああ見えて20歳だからね」
「ふえぇ、マリアちゃん年上なの!?」
まあ驚くわよね、あの容姿で20歳なんだかんだら。
「マーちゃんの胸って1年前よりも更に大きくなってるね」
「乳首クリクリするな!」
抱き締めている腕でそのまま耳を引っ張ると少し顔を歪ませて胸を揉むるのを止め両手で私をガッチリホールドする。
「この体を自由にできる権利持ってるガリウス君に嫉妬するよ」
「まあ、あの人の周りには女の子いっぱいいるから、私のいる場所あるかわからないけどね」
「僕、マーちゃんがいなくなって寂しかったんだよ」
「ごめんね」
あんなことになるなら、連れていけばよかったと心から思う。
「いいよ、許す……。 ありがとう」
そう言うとゼロスはウトウトとして夢の中に落ちていった。
私も幼馴染みが側にいる安心感からかすぐに眠りにつけた。
更新前に活動報告で予告したいと思います。