それでも猫が好き
「私に説明したように、マイラ様に説明してみてください」
サラスティがミリアスを威圧する。
「モフモフかわいい 俺、この娘、飼う」
「いくら使ったんでしたっけ?」
「150万G。足りない分は自分で出した。 亜人のネコミミはレア」
何で片言なの……。
状態異常:魅了
つまり、ミリアスはこの娘に魅了されてる?
ステータスを見ても、この娘自体には魅了するようなスキルはない。
どういう事なんだろう?
取り敢えずネコミミ娘とゼロスを他の部屋に移動させマリアに二人を見てもらった。
これで、私たち以外いないのでミリアスの魅了を解除しても再度魅了になることはない。
状態異常を解除する魔法をかけるとミリアスの目に色が戻る。
「あれ、俺は……」
「大丈夫? ミリアス。奴隷を買いに行ったのに何があったの?」
「そうだ俺は奴隷を買いに行った。老若男女色々な奴隷がいた。男なんかパーティーに入れたらむさいから女の奴隷を探していた。そしたら神がそこにいたネコミミ、モフモフ、ネコミミ、モフモフ」
状態異常:魅了
は?
どういうこと、また魅了にかかった。
「ミリアスは昔から猫が好きでしたのでもしかしたら……」
つまり猫好きが高じて、獣率30%の亜人奴隷を見て逝っちゃってるわけか。
自分から魅了されてるわけか。
ドン引きですわ。
「俺のモフモフ! 俺のネコミミを返せ!」
その声と共にサラスティに襲いかかる。
いや、マジでどうしちゃったのミリアス。
「海賊危機一髪」
「ギャー」
痛みで我に返るまで放置かな?
「静寂」
声うるさいから、補助魔法の静寂をかけておいたこれでいくら喚こうが大丈夫だ。
さて、どうしたものか。
自分から魅了状態になるとか意味不明な人間をどう治療すれば良いのか。
ん?
「ねえ、サラスティ。ミリアスはこの部屋にくるまで普通だったんじゃない?」
「はい、ワタシが返してこいと言ってからおかしくなりました」
そして、サラスティに襲いかかるミリアスをマリアがボコボコにしたそうだ。
「分かったわ、あのネコミミ娘を認めるしかないわね」
「嫌ですよ、奴隷に惚れる貴族なんて侮蔑対象ですよ?」
そう、奴隷に手を出すような輩は奴隷と同じ扱いを受ける。
差別対象になるのだ。
とはいえ貴族の中には奴隷に手を出す者も少なからずいるので、公然と批判はできないのである。
「惚れるというよりは愛玩対象なのよ、子供が猫を拾ってきて飼いたいと駄々をこねてる感じ?」
「つまり、あの奴隷を恋愛対象としては見ていないと言うことですか?」
「そうね愛玩動物を可愛がる感じかしら」
「分かりました、それならば一応納得します」
私はミリアスへかけた海賊危機一髪を解除する。
解除するには中央にある幻想の剣を突くと解除できる。
私は中央の剣を押した。すると、ミリアスは天井に打ち上げられ床に轢かれたカエルのようになってうつ伏せに倒れた。
「ミリアス、大丈夫?」
「うぅ俺は……。モフ」
「ミリアス、あの奴隷で良いわ。あの奴隷を使いましょう」
その言葉を聞くと目を輝かせて私を見る。
「本当に? 返してこいって言わない?」
「言わないよぉ」
「絶対? 絶対に?」
「絶対に言わないよぉ」
「ぜっだッ……」
あ、しまったあまりにしつこくて殴ってしまった。
「いいんだよね……。いいんだよぉ……」
そう言い残しミリアスは息を引き取った。
いや、生きてるけどね。
しかし、どれだけネコミミ好きやねん。
意識を取り戻し落ち着いたミリアスに話を聞いたところ、幼少の頃から猫を飼いたかったそうなのだが王宮では飼うことが許されず、いつか飼いたいと言う気持ちだけが高まったそうだ。
そして、ネコミミの娘を見たとき気持ちが爆発したとそう言うことらしい。
はい、半分嘘判定出てます。
忘れてませんよミリアスは私を愛人にしようとした女好き。
ただ単に、ネコミミとかわいい娘で自己魅了しちゃったんでしょうね。
サラスティにもそれが分かったようでミリアスをなじる。
さっきは恋愛対象としては見てないと言ったけどミリアスだしね……。
痴話喧嘩は見ていられないので、マリア達を呼びに行った。
「マリア、一段落ついたから部屋に集まって」
扉がゆっくり開くとマリアが顔を覗かせる。
「ネコミミ、モフモフ、ネコミミ、モフモフ」
状態異常:魅了
「マリア……」