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幼馴染みは蜜の味?


 私が冒険者ギルド来たのはサラスティが指名手配されてないか確認するためだ、ガリウス様の件もあるから念には念を入れるつもりだったのだけど。

 

 さすがに他国の伯爵家の令嬢を指名手配するような馬鹿じゃないか。

 私の心配は杞憂だったようだ。


 それにしても……。


 勇者募集!


「身分不問」


 まあこれは分かる勇者は高貴な生まれ以外からも普通に出る。


「年齢問わず」


 いや、2歳児来たらどうするの? 異世界転生者なら普通にくるよ?


「異世界転生者歓迎」


 あ、それで良いのか……。


「戦闘経験不問」


 まあ、誰でも初めてはあるしね、門戸を解放してる感じで良いと思いますよ。


成長(レベルアップ)できる」


 戦いますしね、あなたのお陰じゃないわね。


「将来は王国を持つことも可能(どくりつ)も可能」


 どうせ勇者が死んだら没取するんでしょ?


能力(スキル)によって昇給」


 つまり即戦力がほしいのか、戦闘経験不問なのに本音出ちゃってるわね。


 まるでブラック企業の求人広告ね。


 最近勇者と言われていたミスティアを排出グランヘイム王国が滅亡して、当の勇者も新たな国に隷属している。

 その情報が魔王軍にも伝わったのだろう。

 魔王軍の動きが活発になっている。


 勇者か……。私が名乗り出た方がいいのだろうか?

 今さら私が真の勇者のと名乗ったら確実に批判される。

 それに自由に動けなくなる。


 まあ、魔王は私が倒すので、新たな勇者には適当にやっていてもらおう。


「おい、聞いたか?」


 昼日中から、ギルド併設の酒場で酒を飲んでいる声の大きい冒険者達の噂話が聞こえた。

 こんな時間にお酒のんでるからと言って別にグータラ冒険者と言うわけではない。

 一日中ダンジョンに潜っていたり、依頼を夜通しかけて遂行させて朝方に帰って来て飲んでる人たちもいるのだ。

 そういう人たちのためにギルド併設の酒場は基本一日中開店している。


「ああ、黒の戦士だろ? 今まで夜にしか姿を現さなかったあいつが昼間も魔王軍を殺しまくってるそうじゃねぇか」


「そうそう、それにその傍らに立つ二人の女がスゴイ美人でな、しかもメチャクチャ強いと来てる」


 黒の戦士? 二人の美人? もしかしてガリウス様の事?

 私は二人の酔っぱらい冒険者の話が気になり、その話に耳を傾けた。


「最近じゃ二人のファンも多くて二つ名も付けられてるんだわ」


「ほう、どんなんだい」


「一人は漆黒闘士メルティナ。黒いドレスで鎧も武器も持たずに戦う姿からそういわれている。魂抜かれるほどの美人だぞ、ただ惜しむらくは愛想が悪いことだな」


「それでもう一人は?」


「刀剣使いの大天使フィリィアさんだ。メチャメチャ優しくて、すでに親衛隊も出来てる。もう戦場の兵士は彼女にメロメロよ」


 メルティナにフィリィア、やっぱりガリウス様の事なのかな。


「ちょっと、その話詳しく聞かせて」


 私はできるだけ愛想良くお願いした。

 そう私は今やお願いする事くらいなら出来るのだ。


「なんだよ、お前は見ねえ顔だな」


 イラッ


「ば、馬鹿野郎このお方は狂犬マイラさんじゃねぇか」


 イラッイラッ


 そう言って相方の頭を無理矢理下げさすが、正直狂犬とか言うあなたにムカついているんだけど?

 私が頭を下げ指すほうの男と目が合うと睨まれたと思い、自分の失言を察したのか二人共々土下座しだした。


「ふええ、すみませんした!」


 懐かしい二つ名と共に土下座する男達、すみません、狂犬ですみません。


 全て月間冒険者という雑誌が悪い。

 新人の取材というから受けたら、有ること無いことかかれてこのざまです。


 先輩冒険者を廃業に追い込んだとか。

 気にくわない奴は殴って病院送り、まるで狂犬のようだと書かれて付いたあだ名が狂犬マイラ。


 まんまやないかい。どんだけ異世界人のボキャブラリー貧弱なのよと憤慨したものだ。


 まあ、全部本当のことなんだけど……。


 その取材受ける前から呼ばれてたけど……。


 全国区になったのは間違いなく、あの雑誌のせいね。


 でも、今の私は狂犬じゃない。

 そう、皆がいるからね。


 優しく接する私に狂犬の噂は嘘だと分かってくれたらしく、気安く接してくる。


 気安く? いやいや、フレンドリーに接してくる。

 肩にてをかけて……。


「姉ちゃんも大変だな、こんな美人なのに狂犬とか言われて」


「ええ、そうなんですよ誤解ってなかなか解けなくて」


 愛想よく、愛想よく。


「俺達が協力してやるよ」


 その男は私の胸に手を伸ばす。


「気安いわ!」


 私はその男の腕を取り捻りを加え投げた。

 男の腕が綱引きの縄のように絞られた状態になって男は床に倒れる。


「ひぃぃぃぃ」


 もう一人の男は床に倒れ込み失禁している。


 やってもうた。


 でもこれは仕方ないと思います。


 私は悪くない。悪くない。


 よし帰ろう。


 倒れてる男に回復魔法をかけ、腕が回復しだしたのを確認すると逃げるようにギルドを出ようとしたが、酒場の奥の方から私を懐かしい呼び名で呼び止める声がした。


「マーちゃん!」


 振り返るとそこには高身長のイケメンがいた。


「どなたですか?」


「え、俺だよ俺。ゼロスだよ」


 そのイケメンは私の幼馴染みのゼロスだった。



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インフィニティ・プリズン~双星の牢獄~ シリーズ
『おさじょ』に出てくるアディリアスとウルティアの二人の神たちの物語 『聖剣のネクロマンサー』
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