絶望の事実
精霊鬼 フィリィア
精霊? 具現化するほどの大精霊……。
「あなた何者?」
その少女はキョトンとして私を見る。
何かを納得したかのごとくハッとすると、刀をさやに納めた。
「マスターに聞いていた以上に驕っているようですね」
「は?」
「言葉の通りですよ? 弱いのに自分を強者だと思い込んでいる愚か者の勇者」
「私が愚か者?」
「私は剣を抜きました、あなたは呑気に私が誰か聞いてきた、これが愚か者と言わずなんと言いますか?」
「え、だってあなた攻撃する気ないでしょ?」
「攻撃する気がない? もうとっくに攻撃しましたよ?」
その言葉に私は体を見回す。
しかしどこも攻撃を受けた形跡はない、
その様子を見て彼女は自分の右手を叩いて見せる。
私の右腕を見たが、何ともない。
グーパー、グーパーを繰り返す。
痛い?腕ね付け根から血が滲み出す。
ボトリと言う音と共に腕が落ちる。
嘘? いつ攻撃されたの?
彼女は以前として緑表示だ。
なぜ? どうして? どうやって?
「分かりませんか? 最初に抜いたときに切りつけたんですよ」
そんな、敵属性も殺気も何もなかった。
私は腕を拾い回復魔法で元に戻す。
私の腕を落とした女は、ただ私を見ている。
攻撃してこない、なぜ?
だけど、向こうも油断している。
攻撃するなら今だ。
「五芒星」
大十字星の進化魔法、この魔法は相手のステータスを10分の1にした上に五属性の攻撃が敵を撃つ。
死になさい!
だけど魔法は発動しなかった。
「な、なんで?」
どういう事なの? なんで魔法が発動しないの?
「五芒星」
何度唱えようと魔法は発動しない。
違う魔法も唱えたが同じだった。
なぜ、なんで。
「魔法は精霊の力を借りて発動させているのですよ? つまり私たちの力、正確には精霊王である精霊龍様の力ですけど、その力を精霊相手に使えるわけがないでしょ」
魔法が使えない。
剣技だけでこいつに勝たないといけない。
斬撃すら見えないのに。
「うるさいな、何なんだよ!」
「お姉様、おはようございます」
二人が騒ぎを聞き付けやって来た。
「来ちゃダメ! 逃げなさい!」
「敵か!」
ミリアスとマリアは立て掛けてある武器を持ち戦闘体勢に入る。
「おやおや、ミリアスさんとマリアさんですね? あなた達も殺すようにマスターに言われておりますので、ここで死んでいただきます」
マスター? つまり敵はこいつだけじゃない。
こいつに命令出来るほどの存在が、まだ敵にいる。
「あなたに命令してるやつは誰よ!」
その言葉にフィリィアはにやにや笑う。
「ガリウス様ですよ?」
「は?」
「ですから、あなたの大好きなガリウス様です」
何を言ってるのこいつは、言って良い嘘と悪い嘘があるのが分からないの?
私は怒りで身を焦がし、精霊鬼に切りかかった。
空が青い。
私は空を見ていた、斬撃が見えない。動きが見えない。
地面に倒れ空を仰ぎ見る。
こいつに勝てない。
フィリィアの意味を安らぎの火から豊穣の大地に変更しました。




