爆ぜろリア充
ミリアスが私に求婚をしたことをサラスティに教えてあげた。
しかも、話をだいぶ盛ってだ。
「ミリアス様、私と言うものがありながら……」
「いや、だって当時は仕方なかったんだって」
「悪ぶるのと妾を作るのは別問題ですよね?」
「え、いや、でも」
,
「ミリアス様、正座です」
「……はい」
ミリアスは尻に敷かれるタイプなのか、彼女に反論が全く出来ない。
ちょっとしたイタズラのつもりだったのに。
ごめんちゃい。
『主情緒不安定になっているぞ」
『私が情緒不安定?』
そんなわけ……。
いや、そうね私は今、情緒が不安定だわ。
メルウスがいなくなって、私は支えを失っている。
『まあ、メルウスと別れるとは思っていなかったが主なら力に振り回されることはなかろう』
『ねえケンケン、私がおかしかったら今みたいに教えてね』
『任せておけちゃんと止めてやる』
あとでミリアスにも謝らないと。
「イチャイチャ、ウザいわよミリアス」
声を荒げてミリアスを罵倒するマリア、どうしたのかと見ればミリアスとサラスティの二人が、周りの目もはばからずイチャイチャしていたのである。
うあ、これはウザいわ爆ぜろリア充!
早急までの小言など無かったかのように、二人はラブラブ空間を作り出している。
きっとあの空間に入ると私のステータスは三分の一になるわね。
「うっ、すまん」
ミリアスはマリアの怒気にあてられて直ぐに謝る。
「マリア様、人の恋路を邪魔する人はUMAに蹴られて死んでしまいますわよ?」
サラスティは久しぶりのイチャラブを邪魔されてご立腹だ。
「UMAなんて、こんなとこに居ないわよ!」
UMAはヤバイわね、あの大きさと足がワシャワシャしてる所とか。
まあ、そんなことはどうでも良いのだけど。
口論を続ける三人を放って置いて、私はこの盗賊を尋問してよう。
アイテムボックスから二十本の短剣を取り出し盗賊の前に置く。
私は気付けの魔法を使い盗賊の男を起こした。
「なっ、てめえ! この縄をほどけ!」
縄に縛られている事に焦りを感じ私を罵倒する。
私は男の言葉に答えず、無言で右足の太ももに短剣を突き刺した。
「ぎゃー!!」
情けない、大の男が短剣が足に刺さったくらいで大騒ぎとは。
私は更に左足の太ももにもう一本の短剣を刺す。
「うぎゃああ! やめてくれ何でもする、何でもするから許してくれ」
たった二本でギブアップとは、人の痛みには鈍感でも自分の痛みには過敏症のようね。
「今から質問をします、嘘を言えば更に苦しめます、私に嘘は通用しません。分かりましたか?」
盗賊の男は頭をヘットバンギングよろしくブンブン振る。
「サラスティは狙って襲いましたね?」
「そうだ、最初からあの女を狙った」(本当)
「誰に頼まれたの?」
「知らねぇ、俺達下っぱに依頼主が分かるわけねぇだろ」(嘘ではないが本当ではない)
私は男の小指を切り取った。
「ぎゃぁ!いてぇいてぇよぉ!本当に何も知らねぇんだって」
「本当に? 噂話とかも聞いたことないの?」
「……噂なら」
「言いなさい」
「チバケイン神国からの依頼らしいと言うことを聞いた」(本当)
「なぜチバケイン神国が?」
「噂話なんだけどよぉ、チバケイン神国が近々戦争を仕掛けるらしいんだわ」
「どこに?」
「グリモア聖教国にだ」
グリモア聖教国、グリモア聖教を国教として国民全員が信徒で質素な暮らしを旨とする宗教国家だ。
「それと彼女に、なんの関係があるの?」
「あの女は回復魔法の使い手だ、部位欠損を治せるほどのな」
部位欠損回復? それって……。
その時後ろから殺気が放たれた。
喧嘩を止めて、私と盗賊のやり取りを見ていたマリアの殺気だ。
マリアがサラスティに向けて剣を向けるが、ミリアスが立ちはだかる。
「どきなさいミリアス、そいつは使徒よ」
やっぱりこうなるか。
使徒真奈美、彼女は強いしかしサラスティはLV15だ、LV偽装かもしないけど。
「サラスティ、あなたは使徒なの?」
「使徒ってなんですか?」(本当)
使徒を知らない、もうこの時点で使徒じゃないわね。
「マリア、剣を下げなさい彼女は使徒じゃないわ」
「ですが、お姉様!」
「私を信じなさい」
その言葉にマリアは渋々と剣を鞘に納める。
そもそも、守護星霊が付いているのだマリアでは傷一つつけられないだろうけど。
「サラスティ、あなた何か知ってるわよね? 話してもらえるかしら」
私は彼女に説明を求めた。
サラスティは少し考えた後、ミリアスに耳打した、それに彼は頷くと、彼女は意を決したのか、ことの顛末を話し出した。