夜営
B・オーガを倒した後、少し早いがその場所で夜営することとなった、B・オーガの素材は高値で売れると言うウィルソンの言葉に従い、剥ぎ取りするためだ。
半分を霧散させてしまったとは言え、3m近い巨体を誇るB・オーガは半分でも十分なほどの素材がとれた。
素材はウィルソンに売却することにした、お金は街についてからになるのだが護衛料と素材の代金で金貨20枚を提示された。俺がそれに了承したら、ウィルソンは申し訳なさそうに謝る。商人の癖で値段交渉のつもりで安く提示したらしい、結局金貨30枚で売ることになった。俺は20枚でもよかったのだがウィルソンはやっぱりお人好しなのだろう。
通貨は金貨1枚は銀貨10枚、銀貨1枚で銅貨100枚だ、ここまでのお金はすべて、魔法でコーティングしてあり光にかざすと七色に光ることからレインボーコインと言われており、偽造も出来ないしちょっとやそっとでは傷がつかないので、国内外から評価と信頼が高い通貨である。そして鐚銭、これは銅貨1枚に対して10枚である、この国で作られた通貨なので質は良いがコーティングされてないので鐚銭扱いである買い物で頻繁に使われる通貨で、傷が入っているのが原因だろう。
ちなみに高い宿でも一泊銅貨10枚、定食屋の一食が銅貨1枚が相場なので、当分食うに困らなくなった。
B・オーガの解体を終えると、夜営に備え隠魔を暴き追撃するを夜営地の回りに出来るだけ多く配置した。何があるかわからないので手当たりしだいに真名命名をかけておいた。
一段落つくと少し奥の方で何かの気配がする、隠魔を暴き追撃するが反応しないと言うことは、人に危害を加えないものと言うことだが念の為に目視はしておく。危険の目は摘まなければいけないからな。
LV1 ハイドラビット
種族:ウサギ目ウサギ科
力:2
瞬:81
知:1
技:3
魔:0
幸:1
特徴:毛はふさふさで高級コートの材料に使われる、肉も大変柔らかく高値で取引されるが捕まえるのは至難の技。
ん? 俺の目の前に個体情報が表示された。どういう事だ?
どうやら、あの茂みにハイドラビットが隠れ潜んでいるようだ。俺はポケットから必中の一投を取り出すとハイドラビットに向けて投げた。
必中の一投は頭を直撃し一撃で破壊して倒した。目に見えなくても倒すと言う意思でその対象に飛んで行くのでどんなに素早い獲物も一撃で仕留めることができる。
周りをよく見ると他にも何羽かいるのようだった、俺は更に必中の一投を投げ追加で三羽程仕留めた。
それを持って帰るとウィルソン達は夕食の準備をしているところだった。とは言え旅の途中なので、パンと具の少ない塩スープなのだが。
「それはもしかしてハイドラビットですか!? それも四羽も!」
ウィルソンが驚きの表情で獲物をみる。まああの表示が本当なら結構希少種だしな。
「みんなで食べようと思って」
ウィルソンは驚愕の表情をする。
「ハイドラビットは一羽、金貨1枚はしますぞ !」
そんなに高いものなのか、まあ、構わないだろう。
俺は四羽のうち二羽を捌くと串を刺し焚き火の周りに突き刺した。焼く間に残りの二羽も捌き毛皮と一緒にウィルソンに渡した。
焼けた肉はみんなで分けあったのだが、油が適度にのっており、他のウサギ種と違いジューシーで美味しかった。
俺は先程の個体表示が、3人にも効くか食事をしながら試してみた。
名前:ウィルソン
種族:人間
職業:見習い商人
LV12
力:32
瞬:12
知:51
技:8
魔:4
幸:10
交渉:C級
特徴:お人好し
三人ともお人好しだ……。
だがこれで分かった"汝は全てを暴く者なり"は永続効果ってことか。
「そう言えば、城塞都市クレセアってどういう所なんです?」
俺は一心不乱にハイドラビットの肉に貪りつくウィルソンに目的地の情報を訪ねた。
ウィルソンは名残惜しそうに肉を見ながら話し始めた。
どんだけ、その肉好きなんだよ……。
まず、城塞都市と言うだけあってその街は高い壁で覆われており、周囲を堀で囲い魔物の侵入を完全に防いでいると言う。
街事態は魔窟がそばに六つあるため、冒険者が多いが衛兵も多いので治安は良いそうだ。つまり、冒険者は治安が悪くなる要因なんだね。
魔窟とは魔物が発生する洞窟でそこから大量の魔物が出てくるそうだ、最奥まで入った冒険者が言うには奥には何もないらしい、突然まもにが発生すると言うことらしい。
魔窟には大量の魔物がいて魔石や素材を取りに冒険者がひっきりなしに訪れているにも関わらず魔物はいなくなることがないと言う。
「俺も冒険者でもやるかな……」
「それでしたら! 私も是非お供に!」
マイラが決意を込めた表情で言う、そう言う彼女を見て俺は苦笑いをした。
「これ、わがままを言ってガリウス様を困らすんじゃない」
ウィルソンは娘が心配なのか釘を指す、まあゴブリンに追われてるようじゃ魔窟は無理だろうな。
「城塞都市といえば、救国の女勇者ミスティア様が来てるそうですよ」
まじか! ミスティアがいるのか、やっぱり村をでて正解だった。情けは人のためならずだな!
「今度、パーティー仲間の貴族で王国騎士のラインスロット様とご婚約するそうですよ」
マイラがそう言うと二人の世に伝わる馴れ初め話を始めた。
まだ、非力なミスティアを偶然助けたのがラインスロットでそれからも色々と力になってるらしい、ちなみにイケメンだ。
「そ、それは一度、会って見たいですね」
俺は勤めて冷静にそう言った、ショックがないと言えば嘘になるけど予想していたことだし。
「私もミスティア様のように、剣や魔法を使ってガリウス様と一緒に戦ってみたいです」
そう言うと、マイラはうっとりとした表情になる。
俺は、その日疲れたと言って先に寝ることにした。