もう一つの力
俺達は一路、城塞都市クレセアに向かっていた。
ゴブリンやワイルドウルフなどの魔物に襲われたが、闇を知り魔を知るもので居場所がわかるので対処も楽だ。
しかし、この方法は効率が悪い。
一匹倒すのに石が二ついる、石なんかそこら辺に転がっているのだが、一々馬車止めて石を探すと言う行為はかなりの危険を伴う、なので出来るだけ馬車を止めたくないのだ。
「ちょっと、改変して見るか」
「真名命名 隠魔を暴き追撃する」
こんな感じでどうだろう?
たぶん俺の考えでは、発見と追撃を一度にしてくれるはずだ。
「ガリウス様は、凄い魔法使いの方なのですね」
助けた少女マイラが興味津々に見ている。
「魔法を石に込めて置くと、いざというときに魔力枯渇で苦しむことが無くなるからね」
嘘である、魔力など1ミリも使っていない、真名命名は名前を付けるだけで良く、コストパフォーマンスは最高なのだ。
マイラは人懐っこくボディタッチが激しい。胸もかなり大きくさっきからバインバインと当たる。
楽しく談笑してると、先ほどの真名を付けた真名命名 隠魔を暴き追撃するが発動した。
おかしい、なんだこの効果は。一つの石がサイズは変わらず分裂して10体のゴブリンの頭を撃ち抜いた。
「凄いです! さすがガリウス様です!」
そう言ってマイラは抱きついて喜びを体で表現する。
取り合えず、雑魚に使える技をゲットした。
「そういえば、ガリウス様はレベルはおいくつなのですかな?」
「レベルは調べたことがないんですよ」
レベルを知るためには、教会に行き高いお布施を払って鑑定するか、鑑定持ちの人に見てもらうしかない。
どこの村でも、教会は小さく鑑定するものもいない。なので大抵は自分のレベルを知らないのである。
鑑定か……。
「真名命名 汝は全てを見通す神眼」
その石を俺の胸元の持ってくると、俺のステータスが映し出された。
名前:ガリウス
LV128
HP1560
MP4520
投擲:S級
剣術:A級
……問題なく調べられた。
「ええと、魔法で調べることができたのですが、LV128ですね」
「28ですか?」
ウィルソンは、聞き間違えたような振りで聞き直す。
「128ですね、どの位の強さになるんでしょうかね?」
「LV100超えですか! すばらしいですな」
100超えはそれなりにいるそうだが、そういう連中は大体が重要なポストに付いているそうだ。
冒険者にも100越えはいるのだが、大体がS級で雲の上の存在らしい。
その時、全ての|真名命名 隠魔を暴き追撃するが作動し一点を貫いた。しかしその一撃は敵を倒すことなく打ち砕かれた。
そこにいたのは、ゴブリンの進化種であるオーガの最終形態、B・オーガが仁王立ちしていた。
B・オーガの強さは土竜(最弱ドラゴン種)に匹敵しうる力を持つ。
「はわわわ」
ウィルソン達親子は恐怖で動けない。
「やるしかないか」
俺はそう言うと馬車を降り、間髪いれずにポケットから石を取り出しB・オーガにむかって投げた 。
石は頭部を狙い打つが、すべて叩き落とされた。
まあ、まっすぐ飛んでるから少し知能あれば分かることか。
俺は死んだ護衛から回収した剣に真名を付ける。
「真名命名 一撃に全てを懸ける剣」
そして、B・オーガに斬撃を振る。しかし、その一撃は避けられた。
動きが早いな。石はすべて叩き潰される、斬撃は避けられる。
久々に使うか。
俺はあるときから真名命名の第2形態と思われる能力を手に入れた、それは自己暗示である、これは自己限定で肉体を強化できる能力だ。
「我が速さ、風を抜く 疾 風 迅 雷」
「我が力、大地を割る 剛 強 無 双」
「これでっ!!」
俺は渾身の力を込めて、B・オーガを切り裂いた。
その一撃はB・オーガの体半分を霧散させた。
オーガを切り裂いた剣は灰になって崩れ落ちる。
……これなら木の棒で良かったな。