打撃
日曜日の夕方。
リビングでバラエティー番組を見る結衣と結人。
2人はソファーで横になったり、足を伸ばしたり、ダラダラとしている。
一方で結花は相変わらずその横で、静かに本を読んでいる。
「ねぇ。何でテレビって写らなくなったときに叩けば直るの?」
「今のテレビは叩いても直らないぞ。他のやつは分からないけどな」
「じゃあさ、これとか直るかな?」
そう言って、結衣は自分がいつも使ってる時計を持ってきた。目覚まし時計として使っていて、これで可能性は毎朝起きている。
「やってみるか」
結人は時計を受け取ると、手のひらで時計を強めにバシンバシンと2回たたいた。
するとカチャッという音がして、結衣が時計の異変に気がついた。
「ちょっと!長針が取れちゃったじゃん!なんで壊すの!」
「もともと壊れてたんだろ?それを直そうとしたんじゃん!」
「壊れてないよ!これがなきゃ朝起きれないのに...」
「なんで壊れてなのに持ってくるんだよ!直してみるからもう一回貸してみな」
結人は再び時計を受け取ると、先程より少し強めに叩き始めた。すると今度は短針と秒針も取れてしまい、時計はカチカチと音を出すだけになってしまった。
「あっ...。ごめん...」
「なら私が直すから!」
そう言って時計を叩き始めた結衣。
そんな光景を見ていた結花は、呆れたように呟いたが、それは2人には聞こえて無さそうだった。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんの頭も叩いて直せないかな」
次回「日本製」。