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あのクエストから早数日。

もちろん、あの後倒れたりでいろんなところに迷惑をかけてしまったのにあのメイド霊と契約できなかったわけだ。

あの一連のせいで、継続的に続いていたユリオ様慰め依頼は中止に。

そうして、こちらは新しい金ずるとなる依頼を探さなければならないこととなった。

が、当然ながらあのように数時間子供と話すだけなのに大人の1日分の肉体労働分の金がもらえるようなおいしい依頼(あのメイドに呪われるというハプニングがなければだが)はそうそうないというのが現実だ。

だから、今自分は再び地味な仕事をしつつお金を稼ぐルートへと戻ってしまったわけだ。

そうして今受けている依頼は……



≪手作り白パン 【HP回復効率小アップ】【STR微上昇】≫


≪手作り黒パン 【MP回復効率小アップ】【MIN微上昇】≫



「アキラちゃ~ん♪

 新しいパンやけた?」


「おう!ならさっさと持ってこ~~い!!

 こちとらもう仕事場に行かなきゃならねぇんだ!!

 さっさと出せさっさと!!この際切らなくてもいい!!」


「おいてめぇ!!白パンは貴重なのになにさらっと持ってこうとしてるんだ!!

 てめぇみたいな筋肉達磨はおとなしく黒パンでも買っておけ!!」


「うひひひひ♪

 幼女の汗の塩見味……ぶげらっ!!」





「ああぁぁぁぁぁ!!!!なにこれ!!忙しすぎだろ!!

 もう休む、休む!!給料半減でもいいから休む!!」


「おいガキ、何なめたこと言ってるんだ。

 午後からも客はくるんだ、さっさとパン生地の仕込みをしろ」



こうして、いつもの宿でちょっと【調理】スキルの実験のためにもコックとして雇ってもらってみたのであった。

なお、想像以上に繁盛して死にそうな件。

なんでいつもはまともに宿で食事とらないような奴らまでここで食ってから出ていこうとするんだよぉぉぉぉ!!



「あ、あ~~~疲れた。

 もう無理、腕上がらない。

 子供一人に50人分のパンを一日にこねさせるとか、新手も拷問かよ」


「は~い、おつかれアキラちゃん♪

 果汁入りの水だけど飲む?」


「飲む!!」



そういいながら、この宿のもう一人のキッチン担当の娘から賄いの水をもらった。

疲れて火照った体にわずかに酸味のある水が体に染み渡る。

なお、この娘はあの鬼畜店主の姪っ子に当たる娘だそうだ。



「この性格の良さ、絶対あの店主の教育じゃないなのは確定だな。

 あの店主に教育のきょの字もなさそうだし」


「てめぇにはどうやら作り置きしておくパンの数を20以上増やされたいようだな」


「アーアノ子がいい子ナノは店主様の教育のおかげですネ。

 マチガイナイ」



確かにこの仕事はきつくて手が自然と震えるくらいパンを作らされているが、おかげで自分のステータスアップと調理Lv1が実際どのくらい意味があるかを実感できた。

ステータスアップの効力は今の幼女であるはずの自分が大の大人の仕事量をやっても何とか耐えられる程度。

窯や石板を使って、大の大人が50人分のパン生地をこねるのってあんなに大労働なんやなって。

【調理 Lv1】は、なんとなく料理の作り方やコツがつかめる感じである。

わかりやすく言えば、料理人が細かいレシピを知らなくても勘で調味料の計量せずとも料理することができる程度といった感じ?

しかし実際のところ、この料理の腕は本当にスキルにものというよりはあのメイド霊の訓練のたまものの可能性もあるから何とも言えないが。

もう一つの白パンや黒パンのステ微アップだって食べた後自分のステータスには全く変動内がない上に実感すらわかない程度ではあるため、存在意義ははなはだ疑問ではある。



「おい、ガキ。

 てめぇは……冒険者を続けるつもりか?」


「あ?今こうして冒険者として正社員よりも安い金で雇って、こんな子供に今までまともにやってなかったランチサービス分の労働までさせてく言うわ。

 てめぇ、自分が超実力派冒険者になったら今の100倍の料金で土下座させながら依頼させてやるから覚えておけよ」


「っは、お前の言う実力派の冒険者はそもそもコック代わりに呼び出されないだろうよ。

 ……でもまっ、俺は今お前を詐欺みたいな安い給料で雇ってることは否定しねぇ。

 お前は年齢や経歴を無視すればそこそこましな料理人だ。

 腕や効率も悪くないし、もう少し成長したらまともな町で店を開いたとしても食っていけるだろうな」


「そう思ってるなら、給料増やせ」


「っか、いいから黙って聞け。

 で……もしよければだが、お前、ここでしばらくコックをやらないか?

 今みたいに午前中だけじゃない、午後からもここで働くんだ。

 そうしたら、今の倍以上給料はやるしてめぇの気まぐれの料理実験とやらもやらせてやる。

 幸い、あいつはお前のことも気に入ってるし、今まで俺が料理の仕方がわからなかったせいであいつにまともな料理の仕方というのを教えることができなかったからな。

 どうだ?悪い話じゃねぇとおもうが」



……店主の言いたいことはわかる。

この店主の提案に乗れば自分はしばらくは安定して飯を食っていけるだろうし、いや、この何だかんだ言って世話焼きな店主のことだ。

多分、自分が大人になってもここで雇い続けてくれる可能性だってある。

要するに自分はある意味では冒険者を続けずとも、一生ここで食っていける身になれるのであろう。



「ん、わりぃな、おっちゃん。

 けどやっぱり自分は冒険者のまま仕事を続けるわ」


「……そうか、なら何にも言わねぇよ。

 馬鹿なガキが、てめぇみてぇな奴は早死にするだろうよ」



店主が溜息を吐けながらそういった。

まぁ確かに自分みたいな見た目幼女が実際に名前だけとはいえ、冒険者なんて仕事を続けるなんて言ったら自分だって止めるだろう。

けど、例え危険が待ち構えていたとしても、自分には一刻も早く元の性別に戻る又は元の世界に戻るという大事な使命があるのだ。



「ん~、それじゃぁさっそく出かけてくるわ。

 日が暮れる前には戻るって伝えておいてくれ~~」



そうして自分は宿をあとにしてさっそく行くべき場所へと向かったのであった







「叔父さん叔父さん!!アキラちゃんの説得できた?

 アキラちゃん、ここで一緒に働いてくれるって言った?」


「あ~……その悪いな、シノ。

 どうやらあいつは冒険者を続けるそうだ。

 ま、あいつは悪人ではないが変人だからな、もっと同僚にするならまともな奴の方が……」


「えぇぇぇぇ~~!!!

 叔父さんのバカぁ!!シノちゃんみたいないい子を冒険者のままにしておくなんて鬼畜!悪魔!!ドラグニティゴブリンプリズナーオーガ!!」


「お、おい!ドラグニティゴブリンプリズナーオーガは言い過ぎだろ!

 ドラグニティゴブリンプリズナーオーガは!!」



現在のステータス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


NAME:アキラ

Lv:3

ROLE:ネクロマンサー

HP:10/10

MP:4/4

状態:満腹


STR:2

TOU:2

MAG:6

MIN:3

AGI:6


SKLL:【死霊術 Lv1】

     【流浪人の加護】

     【調理 Lv1】


SIGN:≪スケルトン≫ MP-4


QUEST:≪メインクエスト:友だち100人できるかな?≫

      ≪サブクエスト・なし≫


ADVICE:冒険しなきゃ、会えるものにも会えませんからね


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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