表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

『ほら!!そこ!!もっと薄く皮をむきなさい!!

 ……ああっ!!そんなに分厚く皮をむいたらもったいない!!

 何考えてるんですか!!この町でその野菜の1片がどれだけ貴重かわかってるんですか!!』



さて、あの衝撃のゴーストショックからしばらく。

今自分は、依頼の後にモーリンさんの許可をもらってこの屋敷のキッチンに入らせてもらっている。

そうしてやらされていることは一言でいえば料理作り。

正直7,8割は見慣れている食材ではあるもののいくつかは異世界の固有の食材と思える何か。

そもそも自分はもともとそこまで料理ができるほうではない。

出来てもせいぜい野菜炒めや味噌汁、炊飯器にスイッチを入れるだけとかそんな程度の男飯オンリー。

こんなわざわざ野菜のサイズにこだわってまで切り、そのうえ薪を使った窯での料理なんて生まれてこの方やったことがない。

……これ、もし仮に自分がそこそこ料理ができたとしても、うまくいかないのは非を見るよりも明らかってやつだな。

薪の数の1つや2つで火力が変わる原始料理器具なんて滅んでしまえ。



『あ~も~~!!薪の入れ方が雑!!

 そんな風に入れたら、新しく入れた薪に火が上手くつかないでしょう!!

 もっと手前だけじゃなくて真ん中、奥とまんべんなく入れなさい!!』



そうして、現在自分の料理の指導をしているのはあの変態メイド幽霊のこと【ショート】。

私の言うことを聞かないと、呪い殺すといわんばかりに詰め寄られ、なくなくこうして慣れない料理なんてことをやらされている。

とほほほほ……



「……わかったよ。

 けど、あの約束忘れるんじゃないぞ?」


『あ~、あなたの言う契約とやらですか?

 ただのメイドの幽霊である私にはわかりませんが……それでユリオ様に害をなさないというなら私としては構いませんよ』



まぁ、それでもうまくいけば新しい死霊術で呼び出せる【契約】ができるらしいから、これくらい何のそのだよね!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【メインクエスト 友だち100人できるかな?】

クエスト概要・あなたは頑張って、この世界で悪鬼亡霊迷える者たちと邪悪なる【契約】を結び

       【死霊術】で呼び出せる仲間を100体以上集めましょう!

要求・【SIGN】を後99個登録する

報酬・主神との面会及び神による≪奇跡実現≫の効果1回

   ※≪奇跡実現≫…これは使用者のありとあらゆる願いを叶える

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【サブクエスト 愉快な愉快な迷ド霊】

クエスト概要・さる不幸で博愛精神の持ち主たるメイドの霊があなたに助けを求めている!

       あなたは彼女を無事満足さえ、彼女の悩みを解消することができるか!

要求・≪モウリョウメイド・ショート(Lv4)≫の精神的満足

報酬・≪モウリョウメイド・ショート≫のSIGN

   ※≪モウリョウメイド・ショート≫ MP-13


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


これが先ほど気が付いた、ステータスのクエストの詳細確認である。

どうやら、訳も分からずこの世界にTS転移させられたが、なんとなーくこのこのクエスト欄を見えてくる。

これはあれだな?自分はこの世界でネクロマンサーとして腕を上げれば元の世界に帰れるとかそういう流れなのだろう。

最悪、元の世界に戻れなくても神様似合えるなら性別くらいなら元に戻してくれそうだし、色々異世界に突然送られ放置状態だった現状にやっと天啓が差してきたという感じである。


……唯一の懸念は、今しがた自分に憑いているがメイドの霊が自分の2倍のレベルがあり契約しても到底その必要MPの関連で呼び出せそうにないってことだな。

見たところ自分以外にはこの館の人が見えてないらしい上にLv4が一体どれだけ強いかは知らないが、こんな幽霊が自由に徘徊しているこの館って結構危なくないか?

というか自分の2倍以上ある亡霊に恨まれて取りつかれてる自分って冷静に考えれば結構危険な状態じゃ……。



『大丈夫ですよ♪まだまだ私は死んでからあんまり時間がたっていませんから、物理干渉もできませんし。

 そもそもできたらあなたなんかにさせず、自分でユリオ様のお食事を作っています!

 ……まぁ、鍋に触ることはできない代わりに別にことができるようになりましたが』



そういって、ショートがこちらをにらむと、まるで背中につららを押し当てられたかのようにぞぞぞと寒気が走る。

しかし、恐らくこれでも手加減はしてくれているのだろう、さっきユリオの部屋で彼女がブチギレていた時はこんなものではなかったし。



『さぁ、まともに皮むきできるまで絶対に寝かせませんからね!!』



かくして、自分は無理やり自分を振り立たせながら自分に憑いた幽霊の恐怖をごまかしつつ料理の修行を続ける日々か続いたのであった





「……おい、今日のところは休んでおけ。

 体調管理も冒険者の仕事のうちだぞ」


「ん?貴様は……ユリオ様に風邪がうつったらことだ。

 わかったらさっさと帰れ。

 ……その顔で大丈夫だといっても信じられんぞ」


「ハァハァ……!!

 最近領主様の家で危ないメイドごっこをしてるだって?

 これはけしからん!俺が直々に領主様にふさわしいかチェックを……ぶべらぁ!!」



さて、そんな風に四方にいろいろ心配されながらも、寝る間も惜しんで料理修行をさせてくる幽霊相手に悩まされ、自分が幽霊と友達になる前に自分が幽霊になる方が先になるかもしれない今日この頃。

しかし、しかし、その苦労も今日まである!

そう、今日ようやくこれが完成したのだ!



『……ま、これくらいできればとりあえずの合格点は出してあげましょう』



そうして自分の眼下にあるのは皿に入ったスープ。

中には肉玉と可愛い花と星形に切りぬかれた野菜たちが浮かぶ。

漂う匂いはそれだけでこちらの腹を刺激して、決して贅沢とは言えないが間違いなくおいしそうといえるスープがそこにはあった。

ようやく、今この時をもってショートの【ユリオ様に出しても問題ないレベルの料理をつくる】という依頼を完遂したのである。

長かった……ここまで長かった。

日数としてはそこまで長かったわけではないが、あのショートに見つかってしまった日に毎日寝てる間も惜しんで、耳元でずっと料理のイロハをささやき続けるものだから、おちおち安眠すらできなかった。

その悪夢もようやく今日まで!その上クエストまで進むと考えれば一石二鳥である。



「……ちょっと位、味見してもいいよね?」


『だ・め・で・す!

 ようやくまともに盛り付けまで完成したのにそれを全部台無しするつもりですか!!

 わっかったら、さっさと冷めないうちにユリオ様のもとにそのスープをお運びしなさい!』


「ちぇ~、わかりました、わかりましたよ」



そうやってショートにせかされるままにユリオ様のもとまで、ここしばらくショートのもとで学んだ料理の結晶であるこのスープを配膳することとなったのであった。

……これでこの迷ド霊、ほんとに仲間になってくれるのかねぇ?


現在のステータス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


NAME:アキラ

Lv:2

ROLE:ネクロマンサー

HP:7/8

MP:3/3

状態:不眠症(睡眠抵抗アップ・命中回避&回復効率&複数状態異常抵抗ダウン)

      

STR:1

TOU:1

MAG:4

MIN:2

AGI:3


SKLL:【死霊術 Lv1】

     【流浪人の加護】


SIGN:≪スケルトン≫ MP-4


QUEST:≪メインクエスト:友だち100人できるかな?≫

      ≪サブクエスト・愉快な愉快な迷ド霊≫


ADVICE:警告!不眠症は決してよろしくない状態です

       できる事なら早めに改善してください


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ