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前も今も、すげぇ幸せだから俺泣きそう。

異変と言うのも、目の前が真っ白になって俺らを包み込み、そして、頭上から少女の声が聞こえた。


『皆さん、ゆーれいらいふは楽しみましたか?笑顔いっぱいで、私は幸せいっぱいなのです』

「え?何?ロリ?ロリなの?」

「あぁあ天使の声がするわ…!」

「朔!京子!かむばぁあああっく!!」

「かむばーっく?」

『ふふふっ』


幼………少女の声は、やがて普通の響きの声になって、そして目の前に魔法のトンガリ帽子を被った小さいショートボブの、銀色の髪をした蒼い目の女の子が現れた。

……マオと同じくらいかわいい。


『私は、導く者です。お迎えに行くのが遅くなって、申し訳ありません』

「いやいや、いいんだよお嬢さん。」

「みーんな、おかげで楽しめたし、よかったわぁ…」

「マオ、楽しかったよー!」

「俺も、スゲー楽しかったから大丈夫だ。」

『それは良かったです。未練は無いようですし、これで問題なく転生できますね』

「「「「え?」」」」

『皆さんには、異世界”メリシュリア”に転生して、一から人生やり直してもらいます。あ、ちゃんと目的があるです。』


少女は、今まで何も持っていなかった右手に杖を出現させて、一振りすると、何やらパネルのような物が浮かびあがった。

そして、突然説明し出す。


『皆さんには、それぞれ同じ世界で、主人公となってもらいます。主人公っていっても、要するに勇者とかヒーローとか、そんな存在位置です。』

「え、俺らそんなのになれるの?」

『はい。私がこのあと、皆さんに必要なチート能力をお与えしますから、ご心配無く。』

「あらあら、チートって言っちゃってるわ?」

『なぜ皆様かと言うと、たのしそーに幽霊をエンジョイしてたので、どんな逆境も乗り越えられる気がするっていう理由です。』

「わぁ、すごいねーっ!」

『あ、でもでも、最初から一緒に居るわけではありませんよ?集まっていただきます。というか、朔羽様に集めていただきます。』

「はぁ?なんで俺?」

『生き生きしてる好青年だから?』

「あ、はい。」


と、要するに、異世界が今というかこれから大変なことになるからとりあえずオマエラで助けてくれやってことらしい。

そして、全部の魔法を操れ、父さんは水と話せて、母さんは植物と話せて、俺は万物と話せて、眞緒は動物と話せるらしい。それと桁外れの運動神経と、優しい心を貰った。もう、チートだのどうでもよくなるくらいのチートぶりだった。


『では、すぐに集まれるように、京子様と純一郎様は双子、朔羽様は京子様方と同い年の隣町の子、そして眞緒様は朔羽様より9歳離れた妹ということで、あと79秒後に転生いたします。』

「わーい!にーにとまたきょーだいー!」

「あら、純一郎さん、あたしたち双子ですってよ?」

「朔羽と同い年だってな。」

「いや、まって、いいけど複雑な心境」

「双子ってことはそっくりなのかしらね」

「母さん順応能力ありすぎコワイ。」

「にーにときょーだい♪にーにときょーだい♪」

「ぁあマオかわぃい~////」

『あぁ、ちなみに、今の記憶は全て丸ごと引き継ぎますので、ご心配なく。』

「おぉ。そうなのか。では、来世も楽しもうじゃないか諸君。」

「おー!ぱーぱ一旦バイバイだねぇ…?」

「にーにが居るから、大丈夫だろう?マオ、いい子にするんだよ?」

「うん!新しいまーまとも仲良くするね!」

「あぁ、親は変わるのか。」

「にーに、マオ頭いいね!」

「うんそうだねぇ///」


と、言うことで、それぞれ転生した。


暗闇の中、俺の頭や体は、骨と肉の間を母親の痛みなどそっちのけで、苦しさから抜け出すため必死に進んでいた。

すると、頭上に空気の冷たさを感じた。耳も目も聞こえない見えないせいか、肌で感じるものには敏感みたいだ。


一気に視界が明るくなる。

といっても、病院のライトみたいなものではなく、オレンジの電球の光だった。この電球の光は好きだ、結構いい気分……。


「お母さん!生まれましたよ!」

「ぁあ、よかった、よかった……!」


あー、すーげーぇ喜ばれてるわぁー、やっべー優越感。

そして俺はふと思い出す。泣かないと危ないんだっけ?

ってことでとりあえず口開いて声をだす。ちなみに、泣いてるふり。


「産声もちゃんと聞こえますよ!元気な男の子ですよ!」

「よかった…よかったぁ……!」


泣くだけでめちゃくちゃ喜ばれるって赤ちゃん幸せなんだね。そういやマオが生まれたときも俺喜んだっけなぁ…。


と、親を観察する。あまりよく見えないが。…………ん?これ父ちゃん?ふぁああああめっちゃイケメンじゃん!?え?は?奇跡?は?すげええええええ!!

はぁ、久々に興奮してめっちゃ泣いちゃったぜ、ふへへ。


すると、抱き上げられて母親の目の前に連れていかれる。母親も忘れず見る。ほおおおあああああびっじん!!すげっ好き!!(((

そんなことを思ううち、知らず笑い声をあげていた。ふと皆の顔が緩んだ。

父ちゃんだろう人も、綺麗な顔立ちを若干崩して笑う。疲れきった母ちゃんも、汗をかきながらもほほを緩める。

なんか、久々に暖かい気持ちになった。

それから、あっという間に数ヵ月が過ぎた。俺は、与えられた運動神経と、元々の記憶で、他の子よりもかなり早く歩けるようになった。

そして、俺は「サク」と名付けられた。前の名前に似ているから、不思議なもんだ。


「サク、ほーらおいでー?」

「ぁー!」


口が上手く動かないため、「あー」とか、「うー」とか単発音しか出せないが、親はなんとなく分かるようだ。すごいなぁ。

父さんは、おいでーと言って両手を広げる。

歩きなれていない足で、父さんの元までいく。

そして倒れがてらに抱きつく。


「サクはすごいですねー♪」

「ぁーうー!」

「うんうん、すごいすごいっ」


父さんは、銀髪の少しウェーブがかった髪の毛で、色白の、目鼻立ちの整った綺麗な顔だった。

一方母さんは、綺麗な黒髪をショートにして、赤い目は鋭くキリッとしている。しかし笑みは素晴らしく優しい。

俺はというと、父さんよりも白い銀髪に、母さんの赤目。まだ髪の毛はそこまで生えてないにしろ、いい感じなのに変わりはなかった。

幸せな時間は、順調に過ぎていく。3歳になったころ、魔法が使えるようになった。

試しに指を前につき出して「ぇい!」と力を込めた。

何も唱えずとも、指先からは水が出てきた。

基本、植物も炎も水も自由自在だった。正直、最初は逸材だと両親に驚かれたが、両親がどうやら、そこそこランクの高い魔法使いのようで、なんだか納得されたので問題はないだろう。

あと、最近はまっているのは、家族との会話だ。

言葉は、上手く発音はできないがめちゃくちゃ喋る。


「サクー、ご飯よー?」

「ぁーい!とーしゃん、ご飯だってしゃー!」

「はーい。シュイナ、俺、米ちょっとでいいわー。」

「あれ、お腹空いてないの?」

「んー、ちょっと腹痛くて。」

「とーしゃん腹痛?」

「うん、けど、すぐ治るからだーいじょーぶ」

「よかったぁー!」

「カリサ、あんまり仕事頑張りすぎなのよ。少しは休んだら?」

「けど、最近研究が進むとかなんだかで、あんまり休めないんだ。」

「けんきゅーかー?とーしゃんもかーしゃんもけんきゅーたのしーんでしょー?」

「ァッもうサクのその一言で俺頑張れる気がするっ腹治ったわいつも通りでっ♭」

「もう、調子いいんだからぁ。ふふっ」


なんだかんだ、楽しい。

仕事で忙しい日も、欠かさずご飯は作ってくれる母さん。遊んでくれる父さん。俺、まじ幸せなやつだわ。

5歳になって、勉強が始まった。小学校的なあれだ。けど、記憶を活かして問題は余裕で解く。

両親にも褒められるし、先生にも褒められるし、同級生からも人気出るし、最高かよって。


前とは比べ物にならないくらい幸せな毎日。

俺は、そんな一日一日を、大切に過ごした。


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