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同棲

ブラのサイズアップがわかるように、今つけているブラのサイズ表記を見せる私。

背中をひんめくって、あらやだ、恥ずかしい。

って本気で恥ずかしいんですけど。


帰り道、

帰り道、ふみにそのことを話したら

ふ『バカじゃん!』

と一言。

ふ『それ、絶対付き合おうとか嘘じゃん!』

私『そう思う?』

ふ『だって、普通に考えてサイズアップなんて、ほとんど無理だし』

私『でも、ユウタはそんな嘘つくような人じゃない…!』

と、正月、花見と連続で嘘をつかれたその口で言う。

ふ『あんた、絶対バカだよ。やっぱり他の男にしたほうがいい』

私『そんなこと、絶対やだよ、うわーん』

私はとうとう声をあげて泣き出した。

だって、絶対ユウタがいいんだもん。

誰がなんといおうとユウタがいい。

半年以上かけて想ってきた想いがこみあげる。


ふみはそんな私の背中を撫でながら、

ふ『あたしは、反対はできない。今までのあんたを見てきてるから…。』

うわーん、よよよ、と声が枯れるまで泣いた。



そもそも、半年以上経っているのに、携帯番号すらしらない。名前と年齢以外に何もしらない。

仕事はなにしてるかとか、家はどこなのか、とか。



私はある事を実行しようと考えた。



とりあえず平日はエクササイズにウォーキングに励んだ。

今までダイエットも3日も続かなかった私が、一週間続けてエクササイズとか、ありえないことだった。



一週間のうち、土曜日はユウタの日、と決めている私。



土曜日がくる。あれを実行するときがきた。


いつものようにマルオは車でやってくる。

ユウタは歩きでやってくる。

歩きということは、相当家は近いはずだ。


カラオケが終わり、いつもの場所でだべると、お開きになった。


カラオケまではマルオの車で移動していることを知っている。


私たちはそっとマルオの車を追跡した。


カラオケの一つ手前の道で左に曲がる。

一緒になって曲がる。と、車が止まる。


ここからは徒歩で帰るようだ。

ふみに車を任せると私は忍者のようにぴったりと跡をつけた。

そう遠くない場所で一軒家へ入るユウタ。


ここか!



と思ったら後ろからちょんちょん、と肩をつつかれた。

『ひぇおぐっ』

変な声を出しながら振り返ると、ユウタの姿が。


ユ『お前ら何やってんの?』

私『いえ、これは、その、ちょっと、道に、そう、道に少し迷っちゃって…。』

あーもう、どうしてうまい嘘がつけないんだ!

ユ『道に…ねぇ。』

私『ずびません、家が知りたかったのでず』

涙と鼻水混じりで返事する。

ユ『とりあえず、俺の家は教えないから。帰んな。』

そんな殺生な…!!

ユ『お前、ストーカーなの?』

ガーンと頭を打ち付けた気分。

そうだ、これはまさしくザ・ストーカー。


ユ『お前なんでそこまでできんの?』

ユウタの言葉がほんの少し優しくなる。



私『す…好ぎだがら、でず。』



一瞬の沈黙のあと、ユウタは言った。


『ブラのサイズが1あがったら、ね』




帰り道は静かだった。

ふみには失敗したとだけ伝えた。


いつもなら音楽をガンガンかけながら通る道。静かだとこんなに遠いんだ、と実感する。たかだか一時間半の道が永久に長く感じる。



仕方がないのだ。

ユウタという人を知ることは、本人からじゃないといけないってこと…。


と、マルオのことを思い出した。

ふみはマルオの連絡先を知っている。

なぜもっと早く気づかなかったんだ!

ふみの電話でマルオに電話する。

5コール目で電話に出たマルオ。

ま『もしもし?ふみちゃん?』

私『まーるーおー』

ま『ひいっ』

私『私だけど。まゆり。』

ま『ま、まゆりちゃん…。どうしたの、変なテンション…。』

私『ユウタのこと、教えて欲しいの。』

ま『ユウタのこと…?』

私『そう、仕事がなにかとか、家はどこだとか…。』

ま『あれ?知らないの?ユウタ公務員だよ、役場の。』

初耳だ…。

ま『家はいつものカラオケの近くだけど…。』

私『だけど?』

ま『あいつ、同棲してるんだよね』


…。

……。

………。


どどど、同棲だと?


私『わかった。ありがとう。じゃ。(ブツッ)』

思い余ってブツッと切ってやった。


ふ『どうだって?』

私『…せいしてるって…。』

ふ『え?』

私『同棲してるって!!』

泣くこともできずにいる私。

とりあえず運転をふみに変わってもらう。


そうか、だから携帯番号も教えてくれないし、変なとこで紳士きどりで手を出してこないと思ったーーー!


泣くこともできない私はそのまま眠れぬ夜を過ごした。

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