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20/29

不満

それから一週間は、しょっちゅう電話してくるなよ、と言われたにも関わらず毎日電話をした。

毎日30分くらい話をする。

話の内容は主に仕事のこと、次に好きなもののことだった。

毎日が楽しくて仕方がない。


ふみと弥生にも報告。

大喜びされ、どんどん嬉しくなる私。

なにより、私自身が一番嬉しい。

だから、二週間連続で『友達連れてこいよ』と言われても、二人きりの時間がなくてもさして気にしなかった。


来週は週中にユウタの誕生日がある。

ひそかにプレゼントを用意していた。

週中に会えなくても、週末にお祝いすればいいや。

頭の中では二人きりでお祝いする私とユウタの姿が。


週中になり、誕生日。

お誕生日おめでとうと、たっぷり可愛くしたデコメを送った。

数十分後に『ありがとう』とだけメールがきた。

『今週末は二人きりで会える?』

とメールする。

『なんで?』

と返事が来る。

『お誕生日のお祝いしたいから』

『いらない』

いらない…。いらないってどうして?

メールする。

『二人きりじゃないほうがいい』


私は、みんなにお祝いしてほしいのだと思い込み、了解した。


でも、週末は特に誕生日ということもなく終わった。

私も帰り際にプレゼントをあげただけ。

私『なんかサプライズしたかったな…。』

ふ『本人がいいって言うんだから、いいんじゃない?男同士で誕生日祝うってあまり聞かないし。』

私『そんなもんかなぁ…。』


結局この週もあわせて、二人きりになることなく六週間経った。


私『二人きりになりたいなぁ…。』

電話で私がぼやく。

ユ『なんで二人きりにこだわるん?』

私『だって、彼女になってから一度も彼女らしいことしてないし』

ユ『気にしすぎなんじゃない?こうして電話してるじゃん』

私『そうかなあ…。そうだよね…。』


でも、このあと二週間もそんな調子で過ごした。


街はやがて、クリスマスソングが流れるようになり、イルミネーションも始まった。

去年はひとりぼっちだったクリスマス。

今年はユウタがいてくれる。

私は張り切ってプレゼントを用意した。


私『もうすぐクリスマスだね』

ユ『あー、そんな時期か。』

私『クリスマスイブ、なんか予定入ってる?』

ユ『いや、特に入ってないけど』

私『じゃあ、じゃあさ、二人でご飯食べにいこうよ!』

ユ『二人で?』

私『そう、二人で!』


次の一言で私は大爆発した。


ユ『めんどくさいから、いい。』


私『どうして?なんで?面倒だって…。クリスマスイブなんだよ?特別なんだよ?』

ユ『別に特別じゃないだろ?』

私『だいたい、今までだって…。』

飲み込みかけた言葉が口からでてしまう。

『彼女になってから、一回も二人きりになったことない!付き合ってなかったときとなんにも変わってない!!』

ユ『だから、それはこうして電話したりして、ちゃんと特別じゃん!』

私『特別なんかじゃない!ユウタ私のこと、避けてるの?!キスだって、ほかにも、たくさん、したいことがあるのに!!』

大絶叫し、とうとう泣き始めた私。


そうだよ、特別なんかじゃない、私のこと、どうだっていいんだ…。


ユ『ちょっと待ってろ』

電話はそこで切れた。


私はおいおいと泣いた。

これ以上泣いたら涙がかれてしまうというほど泣いた。


泣いて泣いて、泣きじゃくっていると電話が鳴った。


ユ『今からコンビニに出てこい!』

私『コンビニ…?』

ユ『お前んちの近くのコンビニだ!』


私はわけがわからないながらも、しゃくりあげながらコンビニへと歩いた。



そこには見慣れた姿があった。



ユウタだ。どうして…。


ユウタは私を見つけるとかけよってきて、私を抱きしめた。

『ごめん!本当にごめん!』

ユウタが大きな声で謝る。

『ユウタ…。それを言うためにわざわざ?』

『俺、お前のこと避けてた!お前の真っ直ぐな気持ちに応えられるかわからなくて、ずっと避けてた!でも、ごめん!これからはお前の気持ちに応えるように頑張るから!』

『ユウタ…。』

『お前は俺の、特別なんだから!』

『ユウタ!!』

抱きついて泣く私を、ケンジが車からそっと見守っていた。

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