不満
それから一週間は、しょっちゅう電話してくるなよ、と言われたにも関わらず毎日電話をした。
毎日30分くらい話をする。
話の内容は主に仕事のこと、次に好きなもののことだった。
毎日が楽しくて仕方がない。
ふみと弥生にも報告。
大喜びされ、どんどん嬉しくなる私。
なにより、私自身が一番嬉しい。
だから、二週間連続で『友達連れてこいよ』と言われても、二人きりの時間がなくてもさして気にしなかった。
来週は週中にユウタの誕生日がある。
ひそかにプレゼントを用意していた。
週中に会えなくても、週末にお祝いすればいいや。
頭の中では二人きりでお祝いする私とユウタの姿が。
週中になり、誕生日。
お誕生日おめでとうと、たっぷり可愛くしたデコメを送った。
数十分後に『ありがとう』とだけメールがきた。
『今週末は二人きりで会える?』
とメールする。
『なんで?』
と返事が来る。
『お誕生日のお祝いしたいから』
『いらない』
いらない…。いらないってどうして?
メールする。
『二人きりじゃないほうがいい』
私は、みんなにお祝いしてほしいのだと思い込み、了解した。
でも、週末は特に誕生日ということもなく終わった。
私も帰り際にプレゼントをあげただけ。
私『なんかサプライズしたかったな…。』
ふ『本人がいいって言うんだから、いいんじゃない?男同士で誕生日祝うってあまり聞かないし。』
私『そんなもんかなぁ…。』
結局この週もあわせて、二人きりになることなく六週間経った。
私『二人きりになりたいなぁ…。』
電話で私がぼやく。
ユ『なんで二人きりにこだわるん?』
私『だって、彼女になってから一度も彼女らしいことしてないし』
ユ『気にしすぎなんじゃない?こうして電話してるじゃん』
私『そうかなあ…。そうだよね…。』
でも、このあと二週間もそんな調子で過ごした。
街はやがて、クリスマスソングが流れるようになり、イルミネーションも始まった。
去年はひとりぼっちだったクリスマス。
今年はユウタがいてくれる。
私は張り切ってプレゼントを用意した。
私『もうすぐクリスマスだね』
ユ『あー、そんな時期か。』
私『クリスマスイブ、なんか予定入ってる?』
ユ『いや、特に入ってないけど』
私『じゃあ、じゃあさ、二人でご飯食べにいこうよ!』
ユ『二人で?』
私『そう、二人で!』
次の一言で私は大爆発した。
ユ『めんどくさいから、いい。』
私『どうして?なんで?面倒だって…。クリスマスイブなんだよ?特別なんだよ?』
ユ『別に特別じゃないだろ?』
私『だいたい、今までだって…。』
飲み込みかけた言葉が口からでてしまう。
『彼女になってから、一回も二人きりになったことない!付き合ってなかったときとなんにも変わってない!!』
ユ『だから、それはこうして電話したりして、ちゃんと特別じゃん!』
私『特別なんかじゃない!ユウタ私のこと、避けてるの?!キスだって、ほかにも、たくさん、したいことがあるのに!!』
大絶叫し、とうとう泣き始めた私。
そうだよ、特別なんかじゃない、私のこと、どうだっていいんだ…。
ユ『ちょっと待ってろ』
電話はそこで切れた。
私はおいおいと泣いた。
これ以上泣いたら涙がかれてしまうというほど泣いた。
泣いて泣いて、泣きじゃくっていると電話が鳴った。
ユ『今からコンビニに出てこい!』
私『コンビニ…?』
ユ『お前んちの近くのコンビニだ!』
私はわけがわからないながらも、しゃくりあげながらコンビニへと歩いた。
そこには見慣れた姿があった。
ユウタだ。どうして…。
ユウタは私を見つけるとかけよってきて、私を抱きしめた。
『ごめん!本当にごめん!』
ユウタが大きな声で謝る。
『ユウタ…。それを言うためにわざわざ?』
『俺、お前のこと避けてた!お前の真っ直ぐな気持ちに応えられるかわからなくて、ずっと避けてた!でも、ごめん!これからはお前の気持ちに応えるように頑張るから!』
『ユウタ…。』
『お前は俺の、特別なんだから!』
『ユウタ!!』
抱きついて泣く私を、ケンジが車からそっと見守っていた。




