仲間
本来、私は一目惚れなどするタイプではない。
何度も振られたせいで臆病なのかもしれないが、見た目が気に入っても、中身を重視してしまう。中身といっても、優しかったり、というのではなく、その人の人となりがわかればいいだけなのだが…。
それにしても、しちゃいましたよ!
ひ と め ぼ れ!
顔が特に好みだったわけでもないけれど、その声に、仕草にきゅん…。ときちゃいました。
牛丼を食べた後はなんとなく解散になり、寂しくなる。
ふ『いやー、今日は大収穫だったね!』
と、ふみが声をかけるが聞こえない。
しばらく車で放心していたようだ。
私『…帰ろっか』
車の中ではRADWIMPSが鳴り響き、ふみが口ずさむ。私も一緒に口ずさみながら楽しく家路についた。
次の日。
朝からいつもくるメールがこない。日曜日だから寝ているのかな?と思い、
『おはよう』
とだけメールしておいた。
ルンルン気分で洗濯を干す私を母が
『雨でも降るんじゃないかねぇ?』
と言いながら更に洗濯物を持ってきた。
昼過ぎてもメールこず。
夕方になった。
いくらなんでも遅すぎじゃねえ?
もう一通メールをしてみる。
『今日はなにをしてるのかな?』
返事こず…。
不安になってふみに電話する。
ふ『えーっ、それって会ったら気に入らなかったってことじゃん』
私『そそそ、そうなんかなぁ?』
ふみが言うに、カラオケの後の牛丼があまりノリよくなかったからね、と。
そのまま夜になってもメールはならないままだった。
翌朝、目覚めて一番に携帯チェック。
まだメールは来てない。
一応おはようの挨拶をメールしてみる。
すると、何事もなかったかのように
『おはよー』
とメールが返ってきた。
内心何故昨日はメールがなかったのか聞きたかったが、嫌われるかな?と思い聞かないことにした。『こないだはありがとう!楽しかったよ!』
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『そう』
一言だけのメール。
やっぱり嫌われたんだあぁぁ!と半泣きでメールを返す。
『友達も楽しかったって。ユキトは楽しかったかな?』
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『うん、楽しかったよ((o(^-^)o))』
ちょっとホッとした。
仕事の休憩中もメールしてみる。
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『お前の会社暇なのな』
そんなつれないメールにもめげずにメールを送る。
『私、ユキトのこと、気になってる』
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『そう』
いつもよりメールは多いけど、なんだかつれない返事。
気になってるなんてメールしなきゃよかったと後悔しつつ仕事に戻る。
一週間、こんな感じで過ごした。
土曜日になり、いつものごとくふみの家でゲームしたりしてゴロゴロしていると
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『友達連れてきて』
私『またお誘いきたー!!』
ふ『やったね!よぉし、今日も行ってやるか!』
そこで
『ふみと二人でいくね!』
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『はぁ?こっちは三人だっつってんじゃん!後一人連れてこいよ』
三人だって…いつ言いましたっけ?
とりあえず親友の弥生に急いでメール。
一緒に行くことになった。
♪明日今日より素直にな〜れる〜♪
『まだこないの?』
って、まだ15分しか経ってないのに!!
これは急いで行かないと…。
このメールを皮切りに、5分おきに『まだなのー?』『もう帰っちゃうよ』とメール。
ふみに代返を頼むと道を急がせた。
一時間半のところを一時間15分で到着。
場所は先日と同じ、カラオケyou。
ユ『全く、おせえなぁ。もうカラオケ終わっちゃったよ。どうすんの?』
どうすんの?って言われても…。
一緒にいるのは、ユキト、マルオ、そして後一人は…。
『ケンジです、よろしくね』
自己紹介をされたと同時にユキトが言った。
ユ『ボーリング行こうぜ』
こうして一行はボーリングに向かうことに。
ケンジの車の後ろを見失わないようについていく。
ボーリングは楽しかった。
ユキトがプロの真似をしたり、弥生がガーターを連続したり。
ユキトの機嫌もいつしか直っていた。
私『いつも三人一緒に遊んでるんですか?』
ケ『んー、まあ、だいたいそうだな。俺ら幼なじみっていうか、腐れ縁だから』
私『ふーん、仲いいですよね』
また一つユキトのことを知っちゃった!
この日はボーリングで終わった。