表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ユーザーさん関連作品

キャンディー♪

作者: 日下部良介

可愛いお嫁さんになるMariaさんにホワイトデーのプレゼントです。

彼と出逢ってから3年間、バレンタインデーに渡すチョコレートは一つだけ。

もちろん、愛情たっぷりの手作りチョコ。

そして、1ヶ月後、彼は必ず応えてくれる。

飛びっきりの笑顔を添えて。

今年もそうなるはずだったのに…。



2月13日。

朝、携帯のアラームで目を覚ます。

今日はチョコレートの材料を買いに行くの♪


ん?

なんだか、体に力が入らない。

意識も朦朧としている。

天井がぐるぐる回っている。


39℃。

ふらふら歩いて、たどり着いた病院で宣告された。

「インフルエンザですねぇ」

熱が下がるまでは外出を禁じられた。


イヤよ!

明日は彼とデートなの。

手作りチョコを渡すの…。

ああ…。

だんだん、意識が遠くなる…。



気が付くと、私は公園のベンチ。

横に座っているのは、もちろん、大好きな彼。

チョコを渡さなきゃ!

あれっ?

チョコが無い…。



おでこが冷んやりする。

目の前には優しい笑顔。

「良かった」

彼がそう言って、そっと唇を重ねる。

「いくら待っても来ないから、心配で押し掛けちゃった」

えっ?


私は丸一日意識を失っていたみたい。

そうだ!

インフルエンザにかかったんだ…。

えっ!

今、彼がキスをした?

ダメよ!

うつっちゃう…。


翌日も彼は会社を休んで、私の熱が下がるまで看病してくれた。

「ごめんなさい…。チョコあげられなかった…」

「バカだなあ。僕にはチョコより、君の笑顔の方が大切だよ」


おかげで、熱が下がって、だいぶ楽になった。

「もう大丈夫だから」

「いい子だ」

彼は私を抱きしめて言った。

そして、そのまま、倒れ込んだ。


凄い熱…。

うつっちゃったんだ!

私のインフルエンザ。



3月14日。

彼が部屋に来てくれた。

彼と出逢ってから、ホワイトデーのこの日は私の部屋で彼と過ごす。

彼がくれた甘いキャンディーをなめながら。


今年はチョコをあげられなかった。

甘いキャンディーはもらえないけれど、彼の笑顔が見られるのなら、それだけで充分。


「いつものキャンディーは無いけれど…」

彼はコートのポケットから小さな箱を取り出した。

「今年のバレンタインはチョコを貰えなかった代わりに、いつもよりずっと君のそばに居られたから」

飛びっきりの笑顔。

「早く開けてごらん」


私はリボンをほどいて箱を開けた。

信じられない!

彼は箱の中身を掴んで、私の左手を取った。

そして、薬指にそっとリングを通した。

そのリングにはいつものキャンディーより小さいけれど、何倍も輝いているキャンディーが飾り付けられていた。


嬉しい!

嬉しいのに、なんだか涙が止まらない。

彼の腕の中で、私は世界一幸せな気持ちでいっぱいになった。

こぼれ落ちた涙がキャンディーの周りに幸せ色の虹を架けた様に見える。


彼が私の涙にそっと触れて囁いた。

「ウェディングドレスを着た、可愛い君を見たい」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] Happy White day..♪ 朝からとっても素敵な贈り物をありがとうございます(^^^^)♪ 最後の彼のプロポ〜ズ素敵です(^^^^)!! もう一つのキャンディ〜…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ