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少年A

「ーー俺、アンタらみたいな奴が一番嫌いなんスよ。」


ニヒルに笑う男の声を最後にオレの意識は途切れた。

苛立った様にこちらを見下ろした彼の名は、何といったか。


例えば仮にーーー少年Aと、しておこう。










少年A










互いに熱く愛し合うような。そんな関係だったのかと聞かれれば、きっとそんな綺麗な物ではなかった。



中小企業の社長の子供同士、将来それ相応の相手と結婚するのだと言われて、また自分でもそう思いながら育ってきて。行き着いた先が彼女だった。


それだけのこと。



多分彼女も、同じ様な環境で、同じ様な気持ちで過ごしてきたのだろう。




違いといえば俺は男だけれど彼女は女で、その分縛られるものが多い位だと、彼女はそう言って笑っていた。


二人共まだ若くて、その関係性は将来の結婚相手、というより友達のソレに似ていて。


だから愛し合うことこそなかったけれど、分かり合える存在だった。






“―理由なんて、なかったんだって”



彼女が壊れたことに。否、壊されてしまったことに。



たった一文、ぽつんと一面の白の中に残された文字は、彼女の身に起こったことを、そして彼女の気持ちを知るには十分すぎて。



天井から下がった彼女の体の下で、俺はその文字を目で追いながらひたすら胃の中の物を吐き出し続けていた。










愛していた、訳ではなかった。打算で仲良くしていられる程、大人だった訳でもなかった。


それでもただ、大切だった。



俺が、もっと強ければ。強ければ守れたのだろうか。


俺と彼女が愛し合っていたら、彼女は1人で狂乱し、抱え込むことはなかったのだろうか。


俺のことを頼り、彼女を支え、笑いあえていたのだろうか。


真っ黒い壁の向こう。パチリとはぜた彼女の断片に、拳を握りしめた。






理由なんて、なかった。



誰に敵と思われようと、同類…味方だと思われようと、罵られ唾を吐き捨てられようと。


そこに至った経緯に、理由なんてなかった。





ただもう、彼女のように誰かをなくしたくなくて。

俺のように誰かが哀しむことにたえられなくて。

彼女を忘れたくて、或いは忘れない様に。俺は拳を血で染め上げた。



そして多分、不良と呼べるようになってはいたのだと思う。それでも俺は、ギリギリのラインで踏みとどまっていた。




――せめて彼女が綺麗だと困った様に笑っていた、その色だけは変えたくなくて、彼女を殺した概念に近付きたくないという気持ちも、ずっと強く残っていたから。






互いに熱く愛し合うような、綺麗な関係では決してなかった。



それでもいつのまにか、俺は彼女に依存し、頼り、きっと憧れていた。

傷をなめ合うように。


本当の友達のように。







彼女の笑みを見た、最後の日。




―――――俺は、どうしたらよかったのだろう。



恵まれた境遇にありながら、どこまでも弱く、欠落していた俺たち。





例えば足りなかったのは、



(愛とかいうものでしょうか?)




 愛シテミマスカ?



  YES NO





短編から移動しました。


文字におこすと厨二病ちっくな乱文&超絶短文にここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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