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勇者様の受難


短編「unfaithful」スピンオフです。


個人的にずっと書きたかった話。



巻き込まないで欲しいと龍斗は思う。



魔王を倒す旅の途中で仲良くなったドラゴンに乗せてもらい、放浪の旅に出てもうすぐ3日がたとうとしていた。…はいそこたいしてたってねえとか言わない。



龍斗はそもそも事なかれ主義である。そのおかげで実は魔王と対決すらしていないが、まぁそれは丸く収まったし今の話には関係ないので置いておくとして。話を戻すと龍斗は出来れば魔王を倒すのも無事終わったことだし、後は一般人として何事もなく悠々自適に暮らしたいと思っていた。




――だが。




“リュート…もしかしたら気付いてたかもしれないけど、あなたこのままだと国の英雄として無駄に祭り上げられるわよ。”




さらりと編み物片手に言って教えてくれたのは、豪胆で知られる巫女…エルクだった。ぶっちゃけ周りの人達の中で一番このmあばばばばば。


…それを聞いてあぁやっぱり、と思ってしまった。そんな空気は自分も少し感じていた。採寸させろと言われたり、何やら急に絵師と面会させられぜひ肖像画をと言われたり、違う国のお偉いさんと対談させられたり。


衣食住を提供してもらっている身で、しかも実際魔王を倒した訳でもない。プラスしてもう一つ負い目のある龍斗は、仕方がないと受け入れていたのだが。―…それが一生続くかもしれないとあらばまた話は別だ。

やらないと殺されかねない雰囲気だったから魔王討伐も引き受けたが、大してこの国に思い入れもない。加えて自分を慕っているような顔をしていた仲間たちも、きっと国から伝えられていたろうに何も教えてはくれなかった。…龍斗が好きなあまり、伝えたら龍斗はこの国を去ってしまうと考えた結果だろうとエルクは言っていたが、真実はわからない。


そうして割とあっさり旅立つ決意をした龍斗に、エルクは更に驚きの発言をしてくれて。



“私も連れて行ってくれない?”



――…巫女エルクがこの国の神であるディアスノア…俗に言う“万能神(ゼウス)”の妻だというのは、少し前に本人から聞かされた話である。その旦那と何かあったのだと…容易に想像はついた。


理由を聞くとエルクは渋々ながら教えてくれて。――……なんというか…当人たちにとってはそれで済ませていい話ではないのだろうが。



―――これぞまさに、なんとかは犬も食わないと言う奴だなと、龍斗は思った。



「……はぁ…」



ぱちぱちと目の前の焚き火がはぜる音を聞きながら、眠るエルクの横で頭を抱える。


実は昔、というか異世界に来る折りに、龍斗は神に会っている。その時やたら力説されたのが…―エルクという巫女には絶対に手を出すな、ということだった。会ったというか正しくは夢の中に意志だけが流れ込んでくるような感じで、声だとか見た目だとかは知らないのだがまぁその分更にエルク自慢…いや今思えば散々ノロケられてひたすらウザかったのを覚えている。


……だから初めてエリクに会ったとき、好みの巫女様がエルクと名乗ったのに一人撃沈していた訳だが。


その時は巫女だから神に愛されているのだろうと思っていたが…エルクの衝撃告白後、あれはそういうことだったのかと妙に納得してしまった。



――つまり、エルクに自覚はないが、彼女は旦那に相当愛されている。



だから多分、浮気というのも…三流メロドラマじみた理由があるのだろう。


例えば、エルクは若干冷めていてツンデレの気があるので、ヤキモチを焼いてほしかった、とか。それにしてもやりすぎだとは思うが…。


………。





うあぁぁぁ!と叫んで髪をかきむしる。なんか色々とそろそろ限界である。悪いのは旦那の方だが、これ以上バカップル…否バカ夫婦の痴話喧嘩に巻き込まれたくはない。


だいたい非リア充男子にラブラブっぷりを逆に見せつけるんじゃねぇ!と叫びたかったが、これ以上大騒ぎするとエルクが起きるのでやめておく。


「あぁもう、ホント…別世界でも何でもいいから、助けてくれよ神様。」


ていうか旦那、お前神様の癖してエルクのこと見つけらんねぇなら俺が説教してやろうかコラ、とぶつぶつ呟いて、けれどそれも次第に虚しくなって溜め息を吐く。



ゴロリと地面に寝転がるが、どうやら興奮しすぎて眠れそうにない。



畜生、と悪態を吐いて、元勇者は静かに寝返りを打った。






勇者の事情がかなり入っちゃいましたが、まぁ何となくあの二人の実態?を理解していただけましたかね。



魔王に関してはまた後で別話としてあげます。というか書きたくてうずうずしております。


あ、ちなみに女性です。

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